投稿日:2025年3月18日 | 最終更新日:2025年3月19日
ロゴは、企業やブランドの世界観を視覚的に伝える「顔」であり、消費者にとっての安心感や信頼感を象徴するものでもあります。
規模の大小に関わらずさまざまな企業が持っているものが「ロゴ」。大手企業ならテレビコマーシャルをはじめとする大規模な広告展開や、商品のパッケージなどと通して、高級ブランドやアパレルメーカーなどは特徴的なエンブレムやシンボルマーク、商品デザインを通して多くの人の目に触れるもの。そして、街の個人経営の店舗だとしても看板やショッピカードにはロゴが載っていることが多いはずです。
本記事では、ブランディングにおいて欠かせないアイテムである「ロゴ」について、種類・制作の流れ・デザインのポイントなどを解説します。さらに、コンテンツマーケティングにおけるロゴ活用のヒントも盛り込みました。自社のブランド力を高めたい方、これからロゴを刷新しようと考えている方はぜひご参考ください。
ブランドロゴは「本物の印」であり、消費者の安心につながる

自動車や家電、アパレルなど、あらゆる業界に存在するブランドロゴは、一目見るだけでどの企業やブランドのものかを消費者に伝える重要なツールです。
車のエンブレム、通勤に利用している鉄道会社のマーク、自販機の横に描かれている飲料メーカーのロゴ、すれ違う人が手にしているカバンの模様、仕事帰りに立ち寄るスーパーマーケット・コンビニエンスストア・ドラッグストアの棚に並んでいる商品の数々。生活していれば毎日何らかのロゴは、無意識のうちに私たちの目に飛び込んでいます。
そこにある事が当然で、寧ろわざわざ意識しないレベルにまで浸透している企業やブランドのロゴですが、私たちはそれを本物であることの証と捉えたり、ある程度高いレベルの品質が保証されているという判断の材料としたりもしています。
多くの人がブランドを認知する上で重要なものがロゴです。「これはこのメーカーのもの」という認識をする方もいれば、特定のメーカーやブランドの商品の購入経験があるひとにとっては「このマークがついていれば安心」と考える人も。他との明確な差別化の証でもあり、あなたの商売について認識してもらうための重要な記号こそ「ロゴ」なのです。
特に日本では、老舗企業が古くから使い続けている家紋ルーツのロゴなどが存在し、その伝統や歴史と結びついたブランドイメージも形成されているのが特徴です。
世の中に溢れているロゴの種類

ブランドのロゴには人を惹きつけるものが多いはず。それは、見た人にインパクトを残すとともに、目印としてよりハッキリと店舗や商品の存在を認識してもらうことにあります。
一目見ただけで、「あ、あのお店だ」「あの会社の新商品なんだ」そんなことをわかってもらうためにロゴが存在するということは忘れてはいけません。ここでは、主に日本を中心にロゴにはどのようなものがあるのか、タイプに分けて紹介してみたいと思います。
企業名やブランド名をそのまま使っているもの
最も分かりやすいのが、社名やブランド名をロゴに直結させたパターンです。
- 例:回転寿司の「スシロー」
- 牛丼チェーン「すき家」
- ファストファッションの「ユニクロ」
- 家具や雑貨の「ニトリ」
- コーヒーチェーン「タリーズコーヒー」
など
デザインを極力廃し、シンプルなフォンとだけで構成されているマークとしてはティファニーのロゴ「Tiffany & Co.」というものもあります。いずれも企業名と背景などを上手に組み合わせてロゴ化しているというのがよくわかる例ではないでしょうか。
この章の冒頭の写真に見られる消費者ローンの看板も、ブランド名だけのシンプルなものというものも見られます。文字のみで構成されるため、視認性と認知度が上がりやすい反面、デザインの抽象度はやや低めになります。
イニシャルや頭文字を用いるタイプ

アルファベットの頭文字をシンボリックに扱うもので、高級ブランドやスポーツチームのロゴに多いタイプです。
- 例:LOUIS VUITTON(LとVを組み合わせたモノグラム)
- 自動車メーカーホンダ:アルファベットの「H」
- プロ野球チーム阪神タイガース:英字「HT」
シンプルかつ洗練された印象を与えやすい特徴があります。
高級ブランドの「ルイ・ヴィトン」の場合には「L」と「V」を組み合わせたロゴが用いられたロゴが採用されています。有名なモノグラムの柄にも含まれているので、目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
また、自動車メーカーのホンダのロゴは頭文字「H」を用いたロゴ。また、プロ野球チームの阪神タイガースは「H」と「T」を組み合わせたロゴを使っており、日本のプロ野球チームやメジャーリーグのチームでも本拠地としている地名の頭文字や、チーム名の頭文字をベースにデザインしているチームが多く見られます。
百貨店髙島屋のデザインされた「髙」の文字を丸で囲ったロゴもこのタイプということになります。
象徴的なモチーフを採用するタイプ

文字要素を使わず、独自のシンボルマークのみをロゴに据える企業もあります。
- 例:コーヒーチェーン「スターバックス」の女神(セイレーン)
- スポーツブランド「ナイキ」のスウッシュ
- 飲料メーカー「ペプシ」の円形モチーフ
商品やサービスを象徴するアイコンを前面に出すことで、文字情報抜きに覚えさせる手法です。
ただ、こういったものを採用する場合まずは文字と組み合わせて使われることからスタートすることが多いのも特徴。スターバックスコーヒーの場合、現在はグリーンのセイレーンの絵柄のみですが、元は黒いセイレーンのロゴをぐるりと囲むようにグリーンの円形の帯が描かれそこには「STARBUCKS COFFEE」 という文字がありました。
マスターカードも円の上に「MA S T E R C A R D」と書かれていた過去があり、ナイキもスウッシュのロゴ上に「N I K E」と書かれていることが始まり。マークだけでも認知されるようになると、徐々にシンプルに記号だけとなっていくのはマークのみのロゴの面白いところです。
じつは家紋も?ロゴと日本特有の事情

日本でよく知られている「家紋」は、古くから各家庭の紋章として用いられ、それ自体が「家のアイデンティティ」を示すものでした。現代の企業ロゴにも、そのまま家紋を流用したり、家紋をベースにアレンジした例が多数存在します。
「この紋所が目に入らぬかっ?!」というセリフと共に、印籠を示しそれを見た悪人たちは一気に手のひらを返して平伏してしまう。有名なドラマ「水戸黄門」のクライマックス。徳川家に伝わる葵の御門。これもある意味ブランドロゴと呼べるものです。
一目見ただけでわかる、将軍家という大きなブランド。日本人の多くが持つ「家紋」は実はブランドロゴと密接な関係を持っているというのをご存知でしょうか?
家紋とロゴの深い関係
前述したように、日本には「家紋」というものが古くから存在します。そして、多くの人にとって身近な存在であることは言うまでもありません
冠婚葬祭や和服、仏壇・墓石などで目にする機会がある家紋は、日本人の生活に深く根付いたシンボルです。徳川家の“三つ葉葵”や、織田家の“五つ木瓜”など、歴史上の人物の家紋はドラマや映画で見かけることも多いでしょう。これらが企業ロゴのモチーフとして使われるケースも少なくありません。
特に古くから商売をしている企業のロゴは、家紋がルーツになっているものも沢山あります。そのまま家紋を使っている企業もあれば、家紋をベースに新しいロゴを作っていった企業もあるのです。
家紋をそのままロゴとして使う企業

- 明治屋(ミツウロコ)
- 百貨店「そごう」:旧家の家紋「丸にちきり」が原型
- 島津製作所:「丸に十」をアレンジ
家紋がそのまま企業ロゴとして機能し、長い歴史と伝統を感じさせる例としてよく挙げられます。
輸入食材を中心に多くの高級食材なども多数扱っているスーパーの「明治屋」。この企業が用いているのは「ミツウロコ」です。三角形がピラミッド状に並んでいるこのマークは家紋がルーツです。また、百貨店の「そごう」のマークも。絹屋を営んでいた創業家の家紋「丸にちきり」(ちきりは織機の糸を巻くための部品)と言われるもの。
他にも島津製作所のシンボルである「丸に十」と言うシンボルなども家紋ルーツのロゴとなっています。
家紋をベースに、新たなマークを作った企業
- 三菱グループの「スリーダイヤ」
土佐藩の出身で、のちの三菱グループの元となる「日本郵船」を創業した岩崎弥太郎。彼の家の家紋が「三階菱」と呼ばれる菱形を三つ縦に重ねた形の家紋でした。これと土佐藩主であった山内家の「三ツ柏」(柏の葉が上と左右3方向に正三角形を形作っている家紋)とを組み合わせて現在の三菱グループの「スリーダイヤ」と呼ばれるロゴへと進化していったと言われています。
こうした事例を見てもわかるように、家紋とロゴは日本独自の文化が色濃く反映されたものといえます。
理想のロゴを作るためのポイント

ロゴは企業やブランドのイメージを直接左右するため、制作の際には以下の点を押さえる必要があります。
要素を詰め込みすぎない

文字や絵柄、キャッチフレーズなどを盛り込みすぎると、結果的に“どんなロゴなのか”がわかりにくい見た目に。覚えやすくシンプルであるほど、認知度と印象は高まりやすくなります。特にデジタルでの使用が多い現代では、サイズを縮小表示する場面も多いため、可読性・視認性を意識しましょう。
ロゴを考える場合に重要なポイントとして「構成要素を多くしない」というのは一つのポイント。ロゴに細かな要素が入りすぎてしまうと、見た目がごちゃごちゃしてしまうだけでなく、パッとロゴを見た人にとってそれが何かが分かりづらくなってしまいます。
ユーザーの立場から見ても「視認性の高さ」というのがブランドロゴには生命線です。企業名やブランド名と象徴的なマークが基本。
どうしてもブランドスローガンなどをロゴに入れたい場合には、装飾的に小さめのフォントとして入れるか、ブランドスローガンがあるバージョンと無いバージョンというのを作っておくほうが良いでしょう。
長く愛されているロゴを考えてみると、シンプルかつ印象に残るロゴであるということもわかるはずです。
色の選定がブランディングを左右する

ロゴを構成する上で、色はとても重要な要素です。
- 青:清潔感、信頼性
- 赤:情熱、エネルギー
- 緑:自然、調和
など、一般的に色が持つイメージを参考にしながら、コーポレートカラーやブランドカラーを決めると良いでしょう。
「赤・オレンジ・緑」のコンビニエンスストア、「少し濃い目のミントグリーン」が特徴的な高級ブランド、「青と黄色」が印象的な家具店。こうしてロゴの色だけ書いても多くの人がどの企業のことについているかわかるのではないでしょうか。「色」と企業イメージが結びつくと非常に強いブランディングになるとともに、多くの人によりイメージが湧きやすくなります。
モノクロ版や単色版も用意しておく

フルカラーのロゴだけでなく、単色・モノクロバージョンを用意しておくと、背景色が濃い場面や、白黒印刷などでも使いやすくなります。多くの場合、白抜きや黒一色でも成立するシンプルな構成を持つと、ロゴの利用幅が広がります。
ロゴを作る際、フルカラーで考案・採用することが基本です。しかし、ロゴを用いるのは必ず白い背景だけとは限らないのです。背景が淡い色味であればある程度耐えることはできるかもしれません。しかし、ロゴに使われている色に近い背景色だったとすると、ロゴの一部が背景に沈んでしまいロゴ自体が目立たなくなるという事態も起こります。
もちろん、白背景を下に敷けば解決する問題ではありますが、場合によってはデザイン性を損なってしまう可能性もあるということは意識しておきましょう。
そういった事態を回避できる方法は、モノクロ版のロゴを用意しておくことです。背景が濃い場合には、白抜きのロゴだけでも成り立つため非常に便利です。
デザインをする時点で、「要素が重なってしまっていて1色刷りでは対応できないロゴにしない」というのを意識して考えることも大切。この場合、そもそも白黒でデザインを起こし、そこに色をシンボルカラーやコーポレートカラーを足していくという方法もおすすめです。
類似ロゴには要注意

ロゴ制作の際は、自社の独自性を守るため、すでに存在するロゴと類似していないか事前にチェックする必要があります。Googleレンズや画像検索機能などを活用し、万一類似のものが確認されれば、修正や別案検討も視野に入れましょう。
ロゴを作る上で気をつけなければいけないのが、「類似したロゴ」の存在。端から有名なブランドロゴを模倣したパロディのようなデザインから入るのは当然望ましくありません。
世界中に溢れている数多あるロゴ。影響を受けていないと作った本人は思っていても、潜在的に目に入ったロゴが「自分のアイディアだ」と思って脳裏に浮かんでしまっているかもしれません。単純な要素の配置のパターンの組み合わせにおいては、意図せずに類似ロゴとなってしまうことも稀に起こってしまいます。
日本人なら記憶に新しいかもしれませんが、それが世界的なスポーツイベントなどで起きてしまった場合は、当然大きな問題にも発展する可能性があるのです。
特にシンプルな構成要素だと感じるロゴの場合、まずは簡易的にロゴを作成し、それをGoogleレンズなどの機能を活用して画像検索してみるというのも一つの手です。
よっぽど類似しているロゴの場合は、その段階で「似たロゴが存在するから、この候補はやめておこう」という判断が可能となります。
企業ロゴの制作の流れ

ロゴを制作する際の一般的なプロセスを紹介します。
STEP1:ヒアリング・コンセプト策定
- 企業の理念やミッション、サービスの特徴などをヒアリング
- ターゲットやコーポレートカラー、求めるイメージを言語化
STEP2:デザイン案の作成・修正
- 複数のラフ案を作成
- 社内やクライアントと意見交換しながらブラッシュアップ
- 色・フォント・構図などを細かく調整
STEP3:最終決定・データ納品
- 社内・外部の関係者と最終確認
- カラーバリエーションや白黒版も含めた納品
- 場合によってはマニュアル(ロゴガイドライン)を作成
ロゴとコンテンツマーケティングの相乗効果

2025年現在、コンテンツマーケティングは企業のブランディング活動で不可欠とされています。ロゴを中心にしたビジュアル統一を図ることで、以下のような相乗効果が期待できます。
- ユーザーの印象の固定化
- ブログ記事やSNS投稿のサムネイル、バナーなどに一貫したロゴ・配色を使う
- 読者が「どの記事も同じブランドの発信」と認識し、信頼が高まる
- ブランドイメージの強化
- ピラーコンテンツなどの目立つ位置にロゴを掲載
- 一貫したデザインがブランド世界観の訴求力を強化
- 検索やSNSシェア時の視認性アップ
- OGP(Open Graph Protocol)で設定する画像にもロゴを反映
- SNSシェア時にロゴが表示されることでユーザーが一目で出所を把握できる
コンテンツマーケティングの施策を回す上でも、ロゴが強く浸透しているとユーザーの再訪や認知度向上に効果を発揮します。
ロゴは「顔」であり「入口」
さまざまなロゴ、そしてロゴを作る際に意識するべきポイントについて紹介してきました。あなたが始めようとしているビジネスがどのようなジャンルであれ、重要なことは『ロゴは「顔」であり「入口」となる』ということ。
- 視覚的に一瞬で「誰のものか」を伝える
- ブランディングの核として使われる
- コンテンツマーケティング施策でも記憶の定着を促す
人間が得る情報の8割を占めるとも言われる「視覚」からの情報を通じて訴えかけ、強い印象を残すために欠かせないもの。あなたの会社やビジネスを認識してもらうための第一歩が「ロゴ」になります。
ロゴ一つで消費者に与える印象は大きく変わります。制作・リニューアルの際には要素のシンプル化、色の選定、モノクロ版の用意、類似ロゴのチェックなど、ポイントを押さえて取り組みましょう。企業やブランドの世界観を的確に表現し、長く愛されるロゴを生み出すことが、強力なブランドイメージの確立とビジネス成功につながるはずです。
ロゴのデザインのみならず、アクセスを生むコンテンツ制作に興味のある方は、下記特典を参考にしてください。


カッティングエッジ株式会社 代表取締役 竹田 四郎
WEBコンサルタント、SEOコンサルタント。WEBサイトの自然検索の最大化を得意とする。実績社数は2,500社を超える。
営業会社で苦労した経験より反響営業のモデルを得意とし、その理論を基に顧客を成功に導く。WEBサイトやキーワードの調査、分析、設計、ディレクションを得意とする。上級ウェブ解析士、提案型ウェブアナリスト、GAIQの資格を保有する。著書:コンテンツマーケティングは設計が9割