投稿日:2022年7月14日 | 最終更新日:2022年10月27日
SEOとは、Search Engine Optimizationの単語の頭文字を取った略語で「検索エンジンの最適化」を意味しています。
「最適化?」とあまりピンと来ない方もいらっしゃるとは思いますが、メジャーな検索エンジンであるGoogleやYahoo!などの検索結果において、自らが望むキーワードで検索した際に上位に表示されるよう、主要タグやテキストコンテンツの調整、サイト構造や外部リンクの獲得などさまざまな調整を行うことを指して「SEO対策」と呼ばれています。
SEOのメリット
その1 低コストではじめることができる
SEO対策をサービスとして提供している企業も沢山ありますが、自分でサイトを作ることができる人であればすべて自分で作業することを考えれば、極論ゼロコストでスタートできるのがSEOの良さの一つ。その分、ノウハウがなければ自分である程度調べて対応しなければならない手間というのはあります。
その2 より能動的な状態のユーザーを獲得できる
どのような時にWEB検索をするかを考えてみてください。
・「おいしいレストランを探している」
・「より安いくて、良い商品が無いか?」
・「水道のトラブルが起こったから修理業者を探している」
自らが何らかの情報を欲している時のはずです。自ら進んで検索している能動的な状態であれば、検索結果の上位に表示されていることで顧客獲得の可能性がグッとあがります。
その3 広告とは違い「財産」となる
広告に投下する費用は、その瞬間の顧客を獲得するために使われるもの。多額の広告費を費やせばそれなりの新規顧客獲得には繋がるでしょう。しかし、SEO対策をしない状態のままで広告を完全に止めたらどうなるでしょうか?
検索からの流入が限りなくゼロに近いサイトの価値は、ただサイトとして存在している以上の価値は生み出しません。
一方、SEO対策がなされていて、GoogleやYahoo!などの検索エンジンから流入するユーザーが一定程度いるサイトであれば、上位表示を達成できている限りは利益を生み出す可能性があるということ。つまり、SEO対策が施され検索結果上位にあるサイトはそれだけで「財産」です。
SEOのデメリット
その1 成果が出るまでには長期的な取り組みが必要
「SEOに取り組んだのだから、すぐに順位が上がるはず」そんな風に考えてしまう人も多いのが現状です。しかし、現実はそんなに甘くはありません。タイトルやディスクリプション、キーワードなどの主要なタグの調整をすればそれで順位が上がるのであれば簡単ですが、それはあくまでも最低限の対応。
スタートラインに立っただけですから、そこからは自社のサイトに足りないものは何か?他社はどのようなことをしているのか?などの分析をおこない、チューニングを繰り返すことが必要となります。
その2 SEOに適したコンテンツの作成には時間と手間がかかる
SEO対策は以前の外部対策から、現在は内部のコンテンツ対策が主流となっています。どのような検索意図をもって、どんなキーワードで検索するユーザーが多いのか?を分析・逆算することによって、共起語なども絡めながらユーザーにとって有益となるテキストコンテンツを作成できるか?というのがカギです。
ただ、検索順位の上昇を期待するキーワードが含まれる記事を作ればいいというワケでもありませんので、本腰を入れてSEO対策をしようと思えばそれなりの時間と手間がかかることを理解しましょう。
その3 良くも悪くもGoogleに振り回されることにはなる
Googleは検索順位決定の要件を公表しているわけではありません。検索アルゴリズムは日々細かくアップデートが繰り返されているため、今日獲得できていた順位が明日も維持できるという保証は全くないのです。
じわじわと順位が下落することもありますし、アルゴリズムのコアアップデーなどが実施されれば一気に順位が下落することも。順位に毎日のように一喜一憂する必要はありませんが、毎日順位のチェックだけは欠かさずに行う必要があるため気をもむ日々となるでしょう。
SEOで検索順位が決まる仕組み
Googleが検索順位を決定するにあたっては、まずクローラーと呼ばれるシステムがWEB上を巡回し、新たなサイトやページがあればその情報を記録していきます。そして、インデクサというものによってクローラが集めたサイトの情報を分析・整理し、最終的にサーチャーというシステムで検索順位を決定いしていきます。
新しくサイトを作成した場合、まずはクローラーにサイトを巡回してもらうようにすることが先決です。サイトの存在をGoogleに認知してもらい、インデックスしてもらうことで初めてSEOが始まります。
そして、サーチャーが順位を決定する要件である「検索アルゴリズム」は200以上の細かな項目が存在しているといわれていますがGoogleはその詳細を明かしてはいません。
しかし、検索結果がその答えであると言えます。自らが上位を目指したいキーワードで検索し、その時に上位に表示されているサイトはGooleのアルゴリズムに合致してるためです。
ここからは、SEO対策に関する具体的な対応方法について紹介していきます。
主要タグのチューニング
タイトル、ディスクリプションといった主要なメタタグに関しては検索結果表示に用いられることもある部分となります。適切なタイトルとともに、ユーザーがアクセスしたいと感じるようなメタディスクリプションを設定しておけば、検索結果のスニペットに最適なテキストが反映される可能性が高まりますので、まずは設定していきましょう。
キーワードタグは以前と比較するとSEOにそこまで深く関与するものではないとも言われていますが、設定しておいて損はありませんので、関連するキーワードもメタキーワードタグとして入れておくことは大切です。
また、システムの仕様などによってどうしても内容が重複してしまうページが生成されてしまう場合などに関しては「どのページに評価を集中させることが適切か?」を考え、カノニカルタグを設定することが必要となりますので、サイト内で重複が発生していないかをきちんと洗い出しておきましょう。
ALTタグの設定
テキストを画像化してしまっている場合はもちろん、記事の途中に入っている画像などに関しても検索エンジンのクローラーからは「どのようなものが含まれているのか?」はわかりません。画像に関してはALTタグを設定し、どのような内容の画像が含まれているのかをクローラーからも認識できるようにしましょう。
サイトコンテンツにおけるSEO
Googleが大切にしているのは「ユーザーファーストであること」。情報を探すために検索をしたユーザーに対して最適解だと思われる検索結果を提示することを目的として日々細かな検索アルゴリズムのアップデートを繰り返しています。
ユーザーがコンテンツに求める最も重要なポイントは「ユーザーにとって有益な情報が掲載されていること」。良質なコンテンツであり、他のサイトには載っていないような独自の目線を持っていることも大切です。
E―A―Tを意識したコンテンツ作り
E-A-TというのはGoogleがどのようなコンテンツが良いコンテンツなのか?を評価する際に設けられている指標のことを表します。EはExpertise「専門性」、AはAuthoritativeness「権威性」、TはTrustworthiness「信頼性」の頭文字に由来しています。
E-A-Tは検索アルゴリズムに含まれているものでは無いとは言われていますので、これが直接的に順位に貢献するものではありません。しかし、良質なコンテンツを提供するという観点から言えば見逃せないものとなりますので、各項目について紹介していきます。
E=Expertise(専門性)
コンテンツが特定のジャンルやテーマに対して特化されていることが一つの重要なポイント。さまざまな事柄が掲載されている百科事典より、専門書の方がより詳しく用語について説明されているとは思いませんか?
広く浅くカバーすることより、狭くてもより深く、そしてその分野に関しては漏れなく網羅されているようなサイトの方がGoogleにとっては評価に値すると考えられています。
また、健康や金融商品に関することなど得た情報によってユーザーの人生を大きく左右する可能性があるジャンルに関するコンテンツについては、執筆者が専門的な教育を受けているのか、資格などを有している人間なのかなども大きな評価基準となっています。
一般投資家が紹介していう我流の投資方法よりファイナンシャルプランナーが解説する資産運用方法の方が信頼性が高いものであると評価されたり、医学的な知識の無い人が解説している民間療法より数々の臨床経験のある医師の意見が重要であると判断するのはある意味当然のことと言えるでしょう。
A=Authoritativeness(権威性)
サイトの権威性は、第三者からどのような評価を受けているのか?というのを重視される指標となります。権威性にはもちろんコンテンツの質も求められますが、いかに長い間運営されているサイトなのかというのも大きく関わる要素となります。
古くから存在するコンテンツであれば、外部サイトからの良質なリンクが多く生成されたり、ほかのユーザーによって引用は言及(サイテーション)をされる可能性が高まるからです。専門的な知識を持つ人からサイテーションされていたり、専門のサイトから被リンクを受けていたりすればそれも権威性のあるサイトでありコンテンツであるという評価につながるのです。
T=Trustworthiness(信頼性)
ユーザーの視点に立って考えてみた時、どこの誰が書いたのかわからないソースも不明な文章より、きちんと出所のハッキリしたコンテンツの方が信頼できると感じるのではないでしょうか。写真週刊誌の真偽が定かではない情報より、全国紙の記者の記名記事の方がどこか信用できると感じる人もいるでしょう。
情報の信頼性を見極める上で一つの指標となるのは、どのような人物によって運営されているのか?サイトに会社名であったり、所在地、電話番号、連絡先のメールアドレスなどが明記されていることによってサイトそのもののユーザーからの信頼度は高まります。
SSL/TSLへの対応
SSLは「Secure Sockets Layer」、TLSは「Transport Layer Security」いずれもローカル環境のブラウザとサーバー間で通信を行う際に暗号化を施すことで、第三者に個人情報を盗まれたり、データ改ざんを行われたりすることを防ぐ技術です。
過去には登録フォームなど一部だけを暗号化対応させるといったサイトもありましたが、現在は常時暗号化されていることが望ましいとされています。Google ChromeやMicrosoftのEdge、AppleのSafariなどのモダンブラウザの多くは、暗号化されていないサイトに関してはその危険性をユーザーにわかりやすい形で通知するようになりました。
常時暗号化通信がされている場合には証明書を取得することで「http://」の部分を「https://」とすることができ、ユーザーにも安心感を与えることが可能です。
SEOを考えた時にも暗号化対応しているサイトと、対応していないサイトとでは、対応済みサイトの方が優遇される傾向にはあります。
ブラウザからの警告を表示させることなく、より安全・安心なサイトを運営することはサイト管理者にとって非常に大切です。
外部リンクの獲得
一時は、外部リンクが多くついていれば検索順位が上昇する傾向にあり「外部リンク至上主義」とでもいう状態にありました。
しかし、外部リンクだけを生成するSEOスパムのような粗悪なサイトが登場したり、対価を支払って外部リンクを獲得しようとするサイトも多く登場したことから、Googleは検索アルゴリズムのアップデート(ペンギンアップデート)を2012年~2016年にかけて実施。
低質なリンクが多く存在するサイトにはペナルティを与え、順位下落する措置が取られました。また、検索順位決定要件に対する「外部リンク」の関与の割合が大幅に見直されています。
Googleからすれば不自然で質の低い外部リンクは決して許されるものでは無くなっていますので、不自然な量の外部リンクを無理に獲得することは避けましょう。
仮に、自分が身に覚えのない低質な外部リンクが生成されていることがわかった場合には、Googleに対しリンクの否認申請をすれば、無効化することが可能です。
外部リンクについては「量より質」が重要であると認識しておきましょう。
適切な内部リンクの生成
サイトのページ同士を繋ぐ「内部リンク」はサイトにアクセスしたユーザーがよりサイト内回遊しやすくするという視点からも検索エンジンのロボットによるクローリングという視点からも必要なものですそれぞれの
・ユーザーの回遊性向上のための内部リンク
サイトのヘッダー付近に作成する「グローバルナビ」と呼ばれるようなメニューや、右もしくは左カラムに固定しているサイドメニュー、フッターにサイトコンテンツを網羅しているフッターメニューはユーザーがサイトにアクセスした際、「ほかにどのようなコンテンツがあるサイトなのか?」を理解する上で大きな役割を果たします。
また、コンテンツ上部や下部に「パンくずリスト」と呼ばれるサイトの階層構造を表示しておくことも有効です。童話「ヘンゼルとグレーテル」に登場した主人公たちが道に迷わないためにパンくずを少しずつ撒きながら森を前に進んでいったことが語源となっているもので、「今サイトのどの階層の、どのページにいるか」ということをユーザーが理解しやすくするために役立ちます。
テキストコンテンツの中に出てくる単語に、その言葉について言及しているコンテンツがあれば、アンカーテキストリンクを生成し関連記事への誘導といった内部リンクも有効と言えるでしょう。
・検索エンジンのクローリングのため
Googleをはじめとする検索エンジンは、クローラーと呼ばれるものを使って定期的にWEBを巡回しています。その際、新たに作成されたページや更新されているページ、また削除されているページが無いかなどを含めてチェックをおこなっています。
ヘッダーやフッターにページリンクを設定しておいたり、サイトコンテンツを網羅したサイトマップが用意されていればクローラーもどのようなページがあるかの認識がしやすくなりますので、出来るだけ用意し、固定ページなどの静的コンテンツが追加された場合には併せてサイトマップも更新するようにしましょう。
ページスピード向上のための調整
Googleはユーザビリティにおいてページの表示スピードを重視しています。ページの表示スピードが極端に遅かったり、データ量の大きなサイトは高く評価はされない傾向となっているのです。GoogleによってPage speed Insightという表示速度計測ツールも提供されていますので、ページの表示スピードを向上させるための調整に対応していきましょう。
・キャッシュデータの利用期間を設定する
ウェブブラウザには、サイトを閲覧した際に一度ダウンロードしたデータをキャッシュとして残しておき、そのデータを活用する機能が備わっています。サイト側で「.htaccess」というファイルで設定すると、拡張子毎に「アクセスしてから〇日間はキャッシュを利用する」といった操作が可能です。更新頻度が少ない画像ファイルなどについてはキャッシュに関する設定を行うことがページの表示スピード向上につながります。
・ファーストビューに関わるスタイルは直接書き込む
サイトの表示に必要なスタイルなどは「css」ファイルにまとめることが通常ですが、表示のためにはcssファイル全体を読み込む必要があります。PCやスマートフォンで見た際のファーストビューに当たる部分に関しては、直接HTMLファイルとして書き込む方がページ表示速度が速くなる場合もありますので、ページスピードインサイトを見ながら調整してみましょう。
・次世代フォーマットの画像を使用する
「.jpg」や「.png」といった画像のフォーマットが現在においても幅広く使われています。しかし、より高圧縮率で画像のファイルサイズを抑制できる画像の次世代フォーマットが登場しています。「JPEG2000」や「JPEGXR」などの候補も登場していますが、最も本命視されているのはGoogleによる次世代フォーマット「.webp(ウェッピー)」。
Chromeだけではなく、EdgeやSafariなどでも表示に対応が始まっていますので、サーチコンソールで、画像サイズが大きすぎると指摘を受けた場合には「.webp」形式への変換・圧縮を検討してみるのもスピード向上に寄与するでしょう。
SEOまとめ
外部リンク施策に対してのペナルティなどが注目され、近年はコンテンツの内容が重視される傾向にあるSEOですが、基本的に抑えておくことが必要な要素は沢山存在しています。ページスピードに関わる部分などに関しても気を配り、よりユーザビリティの高いサイト作りに努めることが効果的なSEO対策につながります。
カッティングエッジ株式会社 代表取締役 竹田 四郎
WEBコンサルタント、SEOコンサルタント。WEBサイトの自然検索の最大化を得意とする。実績社数は3,000社を超える。
営業会社で苦労した経験より反響営業のモデルを得意とし、その理論を基に顧客を成功に導く。WEBサイトやキーワードの調査、分析、設計、ディレクションを得意とする。上級ウェブ解析士、提案型ウェブアナリスト、GAIQの資格を保有する。著書:コンテンツマーケティングは設計が9割