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校正と校閲の違いとは?意味や文章の編集・修正方法をわかりやすく解説

投稿日:2022年4月22日 | 最終更新日:2023年11月30日

情報発信が紙媒体主体だった時代から、WEBによる情報発信が盛んとなったことにより企業からの発信する手段・媒体が格段に増加しました。

企業から発信する情報に誤りがあっては信頼性にも関わるため、さまざまな企業において校正・校閲の需要が高まっているのです。

今回は、校正と校閲の違いから、押さえておくべきポイントについてなどをご紹介したいと思います。

校正と校閲の意味とは

校正(こうせい)とは、文書や印刷物が原稿の内容に誤りがないかをチェックし、文字の打ち間違えや誤字脱字、文法的な誤りなどを修正する作業のことです。つまり、既に完成したテキストが正確かどうかを精査します。

これに対して校閲(こうえつ)は、文章の論理的な矛盾や不自然な表現を指摘し、より読みやすく、論理的な構成へと改善を加える編集作業を指します。文章の流れを見直し、言い回しの適切性や整合性に焦点を当てるのが主な役割です。

まず押さえておくべき「校正」と「校閲」の違い

校正と校閲はセットで語られることが多く、混同しがちです。両者とも「文章や文字に誤りが無いかを探すという作業」である点は共通していますが、似て非なるものです。

「校正」というのは、制作過程において文字自体に間違いが無いかを確認すること。つまり、誤字・脱字に関するチェックというのが「校正」の基本であり核となっている部分です。掲載されている文章が「日本語として考えたとき、間違っていないか?」の確認が校正です。

一方「校閲」というのは、テキストをもう一度読み直し「事実ではないことが含まれていないか?」などより一歩踏み込んだ視点を持って文章と対峙し、確認する作業のこととなります。商品の価格や発売日の情報など誤ったものが無いか、客観的事実について検証することが校閲の中心となっています。

校正と校閲の効果とメリット

高品質な文章を制作する上で、校正と校閲は欠かせない工程です。これらのプロセスがもたらすメリットは多岐にわたります。

読者に対するプロフェッショナルの姿勢を示すと同時に、書かれた内容が意図した通りに伝わるようにするために重要な役割を果たします。

校正は、タイプミスや誤字脱字、文法の誤りといった明白なエラーを見つけ出し修正することに重きを置きます。一方で、校閲は文章が持つ論理的な流れや一貫性に注目し、伝えたいメッセージが最大限に伝わるように文脈や表現を編集します。

また、この作業を外部のプロフェッショナルに委ねることで、新たな視点や提案を得られることもあります。

校正/校閲需要の高まりについて

「校正や校閲は紙メディアのもの」というのが基本でしたが、現在は映像メディアでもWEBメディアにおいても必要とされています。どの様な場面で必要とされているのか具体的に見ていきましょう。

簡単に修正できないからこそ重要だった紙メディアの校正・校閲

当初校正や校閲の作業を必要としていたのは、新聞・雑誌・書籍などの紙メディアが中心となっていました。紙メディアは一度印刷機を回してしまえば、簡単に止めることはできません。そして、印刷してしまったら、増刷や版が異なるものを印刷するまで修正ができないためより慎重になる必要があったのです。

新聞や雑誌・書籍の出版を行う会社には校正・校閲の専門の部署が設けられ、原稿の作成、編集を経て、印刷前に複数回の校正・校閲を通して初めて印刷に回されるというのが通常でした。

映像メディアでも高まった校正・校閲の需要

以前は手書きで作られていたテレビ番組のフリップやテロップはパソコンによってより簡単に文字付けをすることができるようになったことによって、映像分野においても誤字の確認や事実確認なども必要になっていると言える状況です。テレビなどのマスメディアでも特に編集から放送までの時間が短いワイドショーやニュース、情報番組などでも誤字は発生しています。YouTubeなどの動画メディアの場合には個人発信ができるためそもそも校正や校閲という意識を持っている発信者が多いわけではありません。人気YouTuberと呼ばれる存在でもまだまだ誤字などは多く、比較的校正・校閲に対する意識がそこまで高く無いと言えるでしょう。

企業のオウンドメディアにおける校正・校閲は必要か?

インターネットの登場によりさまざまな企業が自社メディアを持つことが可能になりました。それは、自社の公式サイトだけではなく、ブログメディアや公式SNSのアカウントも含めて多岐に渡っています。

「文字を使って発信する」という性質上、誤字の確認や事実確認が必要になると考えるのが当然ですし、個人で発信するのではなく、一企業が消費者やユーザーに対して発信する情報には可能な限り間違ったものが含まれていない方が理想です。

もちろん紙による出版などよりは修正・削除などが簡単なものではありますが、「後からでも直せるから」という前提のスタンスで発信すると決していい結果は生まれないでしょう。

また、WEBメディアにおける原稿の執筆を外部に依頼している場合などにおいてはより慎重になる必要があります。

専門の部署を設けたり、専門の会社に依頼して校正・校閲までする必要性はそこまで高くありませんが、オウンドメディアで情報発信をする担当者は校正・校閲の視点を持っておくことが重要かもしれません。

校正/校閲するにあたって押さえておきたいこと

自社内でオウンドメディアに対して専門性の高い校正・校閲する際に、担当者が押さえておくと便利なポイントがいくつか存在します。これらを念頭に置きながら作業を進めていくと、よりスムーズに校正・校閲を行うことが出来るのでご紹介します。

【校正ポイント①】記載されている数字に対してはより慎重に

価格、日付、分析データなど数字が関わるものは特に間違いがあってはならないものが多いと思われます。意図せずキーボードの隣のボタンに触れてしまっていたり、「0」のキー入力が多く認識されていればそれだけで1桁数字が異なるという状況が簡単に起こってしまいます。

分析データ的なものとは異なりますが、電話番号やFAX番号などにも注意を払いましょう。これらも数字が一つ違っただけで大きく迷惑をかける可能性があります。掲載番号に実際にコールして確認するといった方法を取ることも大切です。

「数字の誤りには掲載しているデータの信頼性を著しく低下させる可能性がある」という点は押さえながら文書作成、校正・校閲に臨むことが求められます。

【校正ポイント②】商品名・人名・地名などは正しいか?

間違った内容が記載されていると記載内容に対して悪い印象を与えてしまうことが考えられるのは商品名や人名、地名といった固有名詞です。

社名が一般的な表記と異なる企業名などは特に注意したい部分となります。有名なものとしては「キャノン」ではなく「キヤノン」だったり、「富士フィルム」ではなく「富士フイルム」などがあります。社名や商材が英語表記かつ大文字と小文字が混在しているといったものにも注意しましょう。特に頭文字が小文字という表記の場合にはWordなどのソフト側で文頭が大文字にされてしまうといった仕様にも気を付けるべきポイントです。

人名でも例えば「たけしさん」という方の名前、本当は「武」という表記が正しいはずが「剛」や「健」「毅」などと誤字している可能性も考えられます。最初に登場した段階では正しい表記だったにも関わらず、2度目に登場した際には誤字になっていることも考えられますので人名などには特に注意を払いましょう。

【校正ポイント③】表記の「ゆれ」に気を付ける

同じ内容が書かれているはずなのに、送り仮名が違ったり、一方は漢字を含む表記で他方ではすべてひらがな表記となるような現象が「表記ゆれ」。一人で記事を執筆する際にも起こりますが、特に複数の方が記事を執筆する際には注意が必要となります。頻出単語・頻出表現に対して「表記ルール」をあらかじめ設けておくと表記ゆれの対策に有効です。

表記ルールとして有名なものとしては、新聞や雑誌記者が基準としている「記者ハンドブック」といった辞書のようなものも存在します。

また、Wordなどにある「校閲」機能には表記ゆれを検出し、表記統一する機能もありますので、チェックの時間を短縮する意味でも活用することがおすすめです。

【校正ポイント④】敢えて、少し時間を置く

文章を書いた直後に自ら校正や校閲をしてしまうと、どうしても「書き手」としての目線から抜けきれない状況に陥ります。特に書いた記憶が新鮮で明瞭な状態であればあるほど、文章に対しての疑問を抱きにくくなるため、少し時間を置いてから校正に取り掛かることできっちりと読者としての目線から校閲に臨むことができます。

【校正ポイント⑤】プリントアウトしてみる

カタログやパンフレットの紙メディアの場合特に有効なのが、実際にプリントアウトしてみるということ。印刷前の段階で実際のサイズで印刷してみて、手に取ってみることで改めて見えてくるものもあります。Wordの入力画面で見ている文章と、実際にデザインが施された状態で見る文章では印象も異なるため、この段階で改めて校正するのは非常に有効な校正方法であると言えます。

【校閲ポイント①】掲載内容は本当に事実かを疑う目も必要

オウンドメディアに意図的に大胆な嘘や、著しく真実と異なるものを載せる企業はほぼありません。しかし、誤った認識や執筆者の勘違いで事実と異なる内容が文章に含まれる可能性は、人が関わっている以上完全に排除することはできないと言えるでしょう。サイトやSNSに事実と異なるものが掲載されてしまってはユーザーの信頼を失うことにもなりかねません。

常識的に間違っていることで無ければ、すべてに対して事実確認する必要はありません。でも、少しでも疑わしかったり気になることがあるのであれば、校閲段階できちんと「ファクトチェック(事実確認)」をする目を持つことがより質の高いオウンドメディア作りへと

つながっていくのです。

【校閲ポイント②】校閲の根拠としてのWikipediaの危険性

近年は検索上位に表示される場合も多い「Wikipedia」。詳しく情報が記載されているため、信頼のおける情報ソースだと考えてしまいがちな人も多いのは事実です。文章を書く際にも参考にされることも多いというのが実情でしょう。

しかし、この考え方は校閲をする視点から考える際は非常に危険です。それはWikipedia「がボランティアの共同執筆によるWEB百科事典」という立ち位置であることにあります。

不特定多数の人間が自由に執筆、編集、修正できてしまうというものを情報の根拠にすることはその正確性に対する疑問符が付くということです。もちろん善意のボランティアによって正確な情報が記載されている項目も非常に多いものではありますが、悪意をもって情報操作することもできてしまう。参考にするという点では便利なメディアですが、特に重要な内容について最終的な事実確認の根拠とするものは、自ら別のソースでダブルチェックし、根拠を補強することが重要です。

文章の修正のポイントと注意点

文章を修正する際は、細部にまで目を通し、読み手の視点を常に意識することが大切です。校正作業では、伝えたい内容が誤解されないよう、文体や語彙の整合性に注意を払います。また、専門用語の使用には特に注意が必要で、専門知識がない読者でも理解できるよう配慮することが求められます。

校閲では、文章全体の構成を見直し、必要ならば段落の追加や文章の削除を行い、より良い内容の流れを作り出すことも重要です。このとき、原稿の目的やターゲットとなる読者層を常に念頭に置くことで、メッセージが的確に伝わるよう努める必要があります。

校正/校閲まとめ

校正や校閲は、「誤った情報を発信しない」という点においては企業サイトやSNSなどにおいても取り組むべきものであるとおわかりいただけたかと思います。

公式SNSなどで発信する情報に関してはガチガチに表記ルールを決める必要性はそこまで高いものではありません。しかし、「オウンドメディアで提供するコンテンツの質を向上する」という点おいては、各企業でも情報発信の場面の際には意識して取り組むべきポイントです。

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