投稿日:2022年4月15日 | 最終更新日:2022年10月27日
BtoBを主軸とした事業を展開している企業にとって、ホワイトペーパーの存在は重要なマーケティングツールとなっています。今回はホワイトペーパーとは何か?そしてどのような場面において、どのように用いることが効果的なのか?ついて解説していきます。
ホワイトペーパーとは?

日本語で「白書」と聞くとイメージしやすいかも知れません。ホワイトペーパーは政府などの機関が発行する「経済白書」「防衛白書」などの「白書」を意味するものが語源となっています。
近年になってWEBマーケティングの世界では主にBtoB事業で使われることの多い「顧客にとって有益な情報や自社の商材に関する情報をまとめた資料」を指す専門用語として広く使われています。
マーケティングにおける3段階のホワイトペーパー活用場面

「リードの獲得」「ナーチャリング」「顧客満足度の向上」大きく分けて3段階においてホワイトペーパーを有効に活用することができます。各段階においてどのような使い方があるのか見ていきましょう。
リードの獲得
見込み客をより多く集めるためにホワイトペーパーを活用するのが、まず第1段階。見込み顧客を多く集めることは、最終的な顧客化の数を高めることに直結しているものです。
「ホワイトペーパーのダウンロード」という顧客にとっての利益が存在することで、フォームからの問い合わせや、メールによる連絡、電話での問い合わせなどと比べると顧客が自らの情報を提供するハードルは自然と下げることが可能になります。
「まずはメールドレスや名刺の情報などを提供いただく代わりにホワイトペーパーをダウンロードしてもらう」という仕組みがリードを獲得しやすくします。
ナーチャリング
見込み客をより受注確度を高めた顧客へと育て上げていくことが「ナーチャリング」です。獲得したリードに対し、メールマガジンなどを通して定期的に連絡するルーティーンを構築。その中で、リード獲得の際に利用したホワイトペーパーよりサービスに関する情報を掘り下げた内容のホワイトペーパーを提供することも有効な使い方の一つです。
提供している商材が幅広い会社の場合には、ホワイトペーパーを複数用意すればリード顧客がどの分野に対して興味・関心を持ち、検討しているかをより明確にすることができる利点があります。また、より詳細な情報を欲しがっているユーザーの絞り込みができるため、温度感の高いユーザーを見極めるためのバロメーターとしてもホワイトペーパーは使用できます。ナーチャリングにおいては「次に顧客化すべきユーザーの見極め」と「検討中ユーザーの背中を押す装置」としての機能をホワイトペーパーに持たせることも重要です。
顧客満足度の更なる向上と、契約の継続・解約防止
顧客化ができたユーザーに対しても業界全体の最新の動向や、自社サービス・商材の最新のアップデート情報なども含めたホワイトペーパーを提供することがマーケティングにおいて重要なポイント。「釣った魚に餌をやらない」のようなスタイルでは、解約につながりかねません。月次で送るレポートなどのほかにプラスアルファとして頻度が低くてもかまいませんので既存顧客に向けたホワイトペーパーの提供も行うことはより顧客満足度を高めることにつながります。
自社の商材を絡めたホワイトペーパーであれば、アップセルやクロスセルも見込めることとなりますので既存顧客をより大切にする意味でもホワイトペーパーを活用しましょう。
ホワイトペーパーに存在するパターン

ホワイトペーパーにはさまざまなパターンが存在しています。ここでは大きく分けて5つほどの種類を紹介していきます。
専門用語・業界用語集
サイト制作でコンテンツマーケティングなどにも使われるものとはなりますが、ホワイトペーパーにおいても有効な種類の一つです。特定の業界に特化して関連する用語や、商材の説明において頻出する専門用語などをわかりやすくまとめることが大切です。業界に詳しくないリード顧客がダウンロードする可能性も高いホワイトペーパーですので、より平易な表現で解説するよう心がけましょう。
自社商材の紹介
自社の商品・サービスに関して、網羅的に掲載するタイプ。カタログのような形式と考えて問題ありません。特長やどのような課題解決に役立つものなのかなどをポイントを絞って紹介していきます。初期に配布するタイプのホワイトペーパーでは商材ごとにはあまり深堀りしない形としておき、後日配布するものに関しては商材一つずつに対してスポットを当て深堀りとしながら、他社商材との比較なども掲載するというのも有効な方法です。情報に関しては、常に最新のものが掲載されている状態が望ましいので、ホワイトペーパーの更新は小まめに行うようにしましょう。
導入事例集
実際に自社の商品・サービスを利用されているユーザーの声を紹介するタイプのホワイトペーパーです。ユーザーに取材をおこない、導入によってどのような成果が上がっているのか、導入までの流れ、導入によってどのような課題解決につながったのか?などより具体的な声を届けるのに有効です。この際、導入企業に協力してもらえるようであれば写真やロゴなどの使用に関する許可がもらえれば尚説得力がアップするでしょう。
実際に使っている人の声を参考にして契約を決定する顧客も多いことからナーチャリングにもつながるものとなります。
調査結果のレポート
業界全体の動向や商材に関連した内容に関してのアンケートやリサーチを実施した際、その中で見えた傾向などを部分的にホワイトペーパー化するというパターンも存在します。アンケートやリサーチが実施できる=「比較的業界の中でも信用性が高い」または「業界の中でもそれなりのポジションにある」という印象を抱くユーザーも多いのでブランディングの一環としても利用できるでしょう。自社で大規模なリサーチを行おうとすると、非常に大きな工数が必要となるので、リサーチやアンケートについては専門の業者に依頼・発注するという方法も存在します。
ファーストステップガイド
商材に関する基本的な内容をカバーする入門ガイドとしてのホワイトペーパー。操作などの基本に加え、よくある質問などもホワイトペーパーに掲載しておけばユーザーフォロー
のためのツールとしても使用することができます。
実際に商品やサービスを導入する前に、どのような機能があるのかを詳しく知った上で比較・検討してみたいというユーザーも。
ホワイトペーパー作成で押さえておきたいポイント

ホワイトペーパーにはさまざまなパターンが存在しています。ここでは大きく分けて5つほどの種類を紹介していきます。
物語性を持ち「共感できる」ホワイトペーパー作り
「どのような人に読んでほしいホワイトペーパーか?」というターゲットを明確にすることから始めましょう。そのユーザーにどのようなストーリーで構成されたものが刺さるのか?を考えていけば自ずと良いホワイトペーパーにつながります。
読み手が自分のこととして捉え、課題に共感し、それを解決するまでを目標としたストーリーをなぞることができるような内容となっていれば、読み手により伝わるホワイトペーパー作りが可能になるのです。
「読む気が起こる」ホワイトペーパーに
ホワイトペーパーには高い専門性とクオリティなども求められますが、ただただ文章びっしりと書かれていた場合、ユーザーは読む気になれないはずです。
ユーザーが求める効果などの分析データがあったとしても、それに付随するものを論文のようにつらつらと文章で書き連ねても逆効果となる可能性があります。
自らがアピールしたいポイントはもちろん、ユーザー側が興味を抱きそうな数値などがあればピックアップして掲載するのが有効です。
例)導入により担当者の残業が平均〇時間低減、〇時間要した作業が〇分で完了…
適度な文章量による的確な情報の提供と、図やグラフ、写真なども交えながら文章全体にリズムを持たせることも心がけましょう。
ホワイトペーパーを手に取るユーザーの目線に立つ
自分がホワイトペーパーをダウンロードする場合、どのような情報が載っているのが嬉しいでしょうか? 導入した際の利点が載っていることはもちろんですが、逆に提供する企業にとって都合のいい情報しか載っていなければ疑いや落胆を生むかもしれません。ビジュアル的に読み手のことを考えることはもちろん、中身に関してもユーザー目線に立った情報を提供できるようにしていくことが大切です。
ホワイトペーパーについてまとめ
ホワイトペーパーは、使い方もさることながら作り方、クオリティが重要であるという点をおわかりいただけたと思います。ホワイトペーパーを専門に制作している会社も存在しているので、制作に迷ったり、自己流のホワイトペーパー制作であまり効果が上げられていないという場合には、相談してみることも一つの有効な策となるでしょう。


カッティングエッジ株式会社 代表取締役 竹田 四郎
WEBコンサルタント、SEOコンサルタント。WEBサイトの自然検索の最大化を得意とする。実績社数は3,000社を超える。
営業会社で苦労した経験より反響営業のモデルを得意とし、その理論を基に顧客を成功に導く。WEBサイトやキーワードの調査、分析、設計、ディレクションを得意とする。上級ウェブ解析士、提案型ウェブアナリスト、GAIQの資格を保有する。著書:コンテンツマーケティングは設計が9割