投稿日:2021年8月23日 | 最終更新日:2024年1月22日
グーグルが「良質なコンテンツを上位に表示させる」と発表してから、がぜん注目を集めることになった手法に、コンテンツマーケティングがあります。WEB集客にはコンテンツを充実させることが大切、といわれていますが、そもそもコンテンツマーケティングとは何なのでしょうか。必要とされている理由、メリットとデメリットなどを紹介します。
↑上記動画は、下記記事を要約した記事動画となっておりますので、お忙しい方や要点を端的に理解されたい方は、合わせてご視聴いただければと思います。より理解を深められたい方は、下記記事も参考に頂ければと思います。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、見込み客に有益となる情報(コンテンツ)を提供して、継続して読み続けてもらうことで、最終的に売上につながる行動を取ってもらう一連の手法です。WEBマーケティングの手法の一つです。
サイトにコラムなどの記事投下ページを用意して、自ら文章を書くことさえできれば、大きなコストをかけることなくスタートできるというのも魅力の一つと言えるでしょう。このコンテンツによって、見込み客となる層を「育て」、最終的には定期的な購買や利用をしてもらえる「ファン」にまで育てていくことによって効果を最大化していくこととなります。
参考記事:Webマーケティングとは?行う流れや求められるスキルなども詳しく解説
コンテンツマーケティングの最終目的は、売上につながる行動を取ってもらうことですが、広告のように全面的に商品やサービスを押し出すものではありません。ニーズが顕在化していない見込み客に対して、コンテンツを通じて会社の存在を認知してもらい、ファンになり、顧客へステップアップするのを自然と、さりげなく後押しするのが特徴です。
潜在的な顧客を本当の顧客、さらにはヘビーユーザーに育てるのがコンテンツマーケティングで、育てるにはある程度時間がかかります。
コンテンツマーケティングは全業種・業態に適した戦略で、向いているのは、自社制作のホームページやブログを持っている、もしくは今後制作する意欲があり、長期的な展望に立って取り組める企業です。一方、向いていないのは、短期的な成果を求めている企業です。
コンテンツマーケティングとコンテンツSEOの違い
コンテンツマーケティングとよく混同される手法に、コンテンツSEOがあります。
コンテンツSEOは、SEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)の一種で、ユーザーの検索意図に合致するコンテンツを用意して、継続的に発信することで、検索エンジンからのアクセス数の増加を目的とするものです。
コンテンツマーケティングとコンテンツSEOの違いを表にまとめました。ちなみにコンバージョン(Conversion)とは、本来は「変換、転換」の意味ですが、マーケティングの世界では、CVと略され、購入、資料請求、問い合わせなどの成果を表します。
コンテンツマーケティング | コンテンツSEO | |
目的 | 売上の増加コンバージョンの獲得見込み客を顕在顧客に育てる | アクセス数の増加コンバージョンの獲得認知拡大 |
対象 | 見込み客 | 検索エンジンを利用する人 |
手法 | 検索エンジン/広告/メルマガ/SNSなど | 検索エンジン |
コンテンツ | テキストコンテンツ/動画コンテンツなど | テキストコンテンツ |
コンテンツマーケティングが必要とされている理由
コンテンツマーケティングが近年必要とされている理由は主に以下の3つが挙げられます。
プッシュ型マーケティングはネガティブな印象を与えてしまうから
Googleが質を重視するようになったから
消費者の購買行動が変わったから
WEB広告に代表されるプッシュ型マーケティングは、しつこいと思われがちで、ネガティブな印象を与えてしまいます。見込み客が一度でも拒否反応を示すと、買ってくれなくなります。さらに、Googleがコンテンツの質を重視するようになったこともコンテンツマーケティングが必要とされている理由です。インターネットの普及により、消費者の購買行動が変わったことも影響しています。
プッシュ型マーケティングはネガティブな印象を与えてしまう
プッシュ型マーケティングの代表格は、リスティング広告やバナー広告などです。買う意思がはっきりしている顧客には有効ですが、見込み客には向きません。
見込み客とは、買うか買わないか、決めていないユーザーのこと。潜在顧客とも呼ばれていますが、どんな会社なのか、押し売りはされないか、などを恐る恐る見に来ているイメージです。最近のユーザーは「売り込み」を敏感に察知するようになったため、「買って、買って」とプッシュされても、心に届きません。
Googleが質を重視するようになった
Googleの「品質に関するガイドライン」には、「検索エンジンではなく、ユーザーの利便性を最優先」し、「独自性や、価値、魅力のあるサイト」を作ることを呼び掛けています。つまり「オリジナルで、ユーザーの役に立つ、高品質なコンテンツを上位に表示します」と公表しています。
そのため、オリジナルなコンテンツで、検索してたどり着いたユーザーにとって「利便性のあるコンテンツかどうか」を基準にして、コンテンツを作る必要が高まってきています。
消費者の購買行動が変わった
インターネットの普及により、消費者は商品を購入する前に、レビューなどの口コミ、SNSでの友人の評価やおすすめをチェックしてから決定するようになりました。消費者の購買行動が大きく様変わりしたのです。新しい購入行動モデルを表す言葉が「ZMOT(ジーモット)」です。
ZMOT(Zero Moment of Truth)は2011年に、Googleが提唱した購入動向に関するマーケティング理論です。消費者は、スマホやPCで商品・サービス、ブランドの情報に触れているため、何を買うかを検索している段階から決めているというものです。お店に行くのが1だとすると、その前の、検索している0の段階で、競合他社との差別化を図ることが必要となってきています。
ZMOTが登場する以前の購入行動モデルとして、FMOT(エフモット、First Moment of Truth)とSMOT(エスモット、Second Moment of Truth)があります。
FMOTは、P&G社が2004年に提唱した意思決定の理論で、 消費者は、店頭に並んだ商品をみて、3~7秒程度でどの商品を買うかを決める、というものです。テレビCMにお金をかけるよりも、陳列棚にモニターを設置し、プロモーション動画が流したり、商品パッケージを見栄えよくして、消費者の興味を集める方がより効果があるといわれています。
SMOTは、商品を購入した消費者が商品の使い心地を体感する段階での意思決定に着目した理論です。リピーターになってもらうために、商品の品質をさらに上げ、クーポンなどを配布し、次回の購入につなげることが提唱されています。
ZMOT登場以前の購入の意思決定モデルは、FMOTの後にSMOTが続き、一連の流れのそれぞれの段階で、消費者の心を動かすような対策を行うことで、優良顧客やリピーターを生み出すことができるとされていました。
ZMOTが提唱されたことで、FMOTの前段階にZMOTが存在し、消費者の行動に影響を与えているとしています。
ZMOT段階では検索エンジンが最も利用されています。スマホの普及でZMOTの重要性がさらに拡大しているため、ZMOTにリーチできるコンテンツマーケティングがますます重要になります。
以下URLは、2011年にGoogleとショッパーサイエンス社が共同で行った調査がダウンロードできるページ。(「Travel」と検索すると、ZMOTに影響される表がでる)
参考:Think with google: Winning the Zero Moment of Think with google
コンテンツマーケティングの主な種類
コンテンツマーケティングにはさまざまな種類があります。それぞれのコンテンツの特性を理解して、最も効果的なコンテンツを選びましょう。もちろん組み合わせて使うことも可能です。
口コミ
カスタマーレビューや導入事例などで、商品やサービスをプロモーションするには有効です。
動画
動画の効果は絶大で、スマートフォンの普及やインターネット環境の向上により、動画コンテンツを組み込むことで、より効果が期待できます。
ホワイトペーパー
ビジネスで活用できる調査や統計などをまとめたコンテンツです。ダウンロードした企業や個人のアカウントを取得しやすいのがメリットです。
記事
WEBコンテンツのメインになるものです。テキストデータで構成され、ある程度の文章量が求められます。
参考記事:WEBライティングとは?タイトル・見出し・本文執筆のコツをわかりやすく解説
事例
顧客の導入事例を紹介します。なぜサービスを導入したのか、どのような利益が得られたのか、などを顧客目線で説明してもらうことで、購買を促します。
メールマガジン
登録された顧客に対して、ニュースや読み物などを定期的にメールで送り、情報発信します。
プレスリリース
近年は自社のWEBサイトに掲載する企業も多く、新商品や新サービスなどを紹介します。
漫画
文章で詳しく説明しないと表現できない内容でも、漫画を使うと効果的に伝えることができます。
SNSの投稿
Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSへの投稿は、各プラットフォームの特性を考慮した上で行う必要があります。
音声
Podcast(ポッドキャスト)は、インターネットラジオの一種で、音声によるデータファイルで、個人でも気軽には配信できるのが特徴です。
ニュースレター
会社が顧客に向けて定期的に発行する手作り新聞です。自社の活動に関わるニュースをメールで送ります。
コンテンツマーケティングのメリット
コンテンツマーケティングのメリットは以下の6つです。
発信したコンテンツが資産になる
良質な記事を大量に蓄積したコンテンツは、会社にストックされ、存在自体が会社の資産になります。良質なコンテンツは、Googleが上位表示されるため、自動的に集客してくれます。
広告出稿などによって費やす費用はその場の顧客獲得に消えて行ってしまいますが、一度作成したコンテンツは一過性のものではなくそのまま残り続けます。
古いコンテンツについては定期的に情報のアップデートなどをおこなう方が理想的ですが、コンテンツ自体は「財産」として捉えるべきものです。
定期的なコンテンツの追加によって、サイト規模の拡大につながりSEO的な強化にもつながります。また、サイトに投下したコンテンツをベースにし、内容を強化・ブラッシュアップさせた「ホワイトペーパー」を作成して、メールアドレスを登録してくれたユーザー向けにダウンロードコンテンツとして利用する例も。
作成したコンテンツをより進化させて「最終的に一冊の本にまとめる」といった発展性のあるものであるというメリットも存在します。
導入しやすい
社内にコンテンツマーケティングの知識を持った人材がいなくても、専門の制作会社に頼むことで導入することが可能です。
キーワード選定や構成案を内製化して、ライティングのみを外注することも可能です。また、現在流行りのAIライティングを駆使し、それを自社で編集する点でも実現可能です。
顧客ロイヤリティを高められる
顧客が会社、商品やサービス、ブランドを信頼や愛着を持つようになります。顧客ロイヤルティが高めることで、、価格競争に巻き込まれる心配はありません。
専門的な知識を定期的に発信していれば、顧客は自然と「これだけ上質な情報を提供できるということは信頼を置ける」と感じるようになります。商品やサービスを選ぶとき、またビジネスパートナーを選ぶ上で「企業や人物の信頼性」というのは大きな比重を占めるもの。
どんなものであっても信頼のおける相手から購入したい、ともに何かをおこなうのであればより信頼性の高い企業と取り組みたいというのは自然な感情です。
コンテンツマーケティングによって獲得できる信頼性によって、新規顧客の獲得だけではなく、リピートが生まれればより大きな利益を継続的に生み出すことにつながるでしょう。
SNSとの相性が良い
質の良いコンテンツは、SNSでシェアされる確率が高くなります。SNSで拡散されることで、自然流入が増えて、良い循環が生まれます。
サイトやブログ、Twitter、Facebook、Instagramなどのソーシャルメディアを活用することによって、広域な情報発信が可能となります。「コンテンツマーケティング」によって日本はもとより、世界のユーザーに向けて発信することでそれまでには商圏として想定していなかったような地域の顧客獲得につながる可能性も秘めています。
より細かな内容については公式サイトやブログにコンテンツとしておいておき、抜粋した内容をSNSで発信していくといったようにメディアの特性に合わせて使い分けをしていくことがコンテンツマーケディングにおいては重要となります。
特定ジャンルのリーダーポジションを獲得できる
レッドオーシャン状態のキーワードを避けることで、特定ジャンルのリーダーポジションを取ることができます。そのためにも、検索キーワードやペルソナの選定は重要になってきます。
専門的な知識を持っていながら、現状うまくブランディングができていない企業や個人がコンテンツマーケティングをおこなうことは大きなプラスの効果をもたらします。良質なコンテンツを定期的に提供することが可能であれば、「豊富な専門知識を持つその道の専門家である」という風に広く認識してもらえるようになるのです。
「日本一」や「売上No.1」といったわかりやすいアピールポイントとなる特徴を見出すことが難しい企業や個人が取り組むことで、最終的に「〇〇の専門家」という肩書を獲得できる可能性もある点は見逃せません。
広告宣伝費を削減できる
リスティング広告やディスプレイ広告においては、対象となるユーザーが検索するであろうキーワードに応じて入札をおこなうこととなります。広告を目にしたユーザーがクリックすればそれによって課金されていくため、大々的な広告展開をしようとすると一気に広告費は膨れ上がっていってしまいます。
ターゲットとしているユーザーが検索しそうなキーワードを絞り込み、コンテンツマーケティングをしっかりおこなっていくと副産物としてGoogleやYahoo!で検索した際の順位向上(SEO)なども見込むことができます。
検索結果で上位に表示されるようになれば自然検索によるユーザーがサイトへと流入する数が増加するようになるため、ターゲットとしているキーワードに対して投下する広告費も自然と削減することができるようになります。
コンテンツの内容を豊富にすることで、さまざまなキーワードからの自然流入が見込めます。SNSやメルマガなどのコンテンツと組み合わせることで、集客をより効率的に行えます。
コンテンツマーケティングのデメリット
コンテンツマーケティングのデメリットは以下の2つです。
効果が出るまでに時間がかかる
コンテンツを蓄積することが大切です。更新の頻度にもよりますが、半年から1年ぐらいかけて、コツコツ続ける必要があります。
「今すぐにでも効果が欲しい」と短期的な効果を望みたい場合には、中長期的な施策となるコンテンツマーケティングは最適な手段であるとは言えません。
SNSなどで拡散されるといったことにより記事がバズるなどして一時的にアクセスが向上するといった可能性は考えられるものの、コンテンツマーケティングは即効性には欠けるものです。一時的なアクセス向上があれば、その中からリピートしてアクセスしてくれるユーザーを育て、最終的な顧客に育てるといった形となりますので、本当にすぐに効果を出したいというのであれば、広告配信による顧客誘導などと同時並行することがおすすめとなります。
クオリティの確保と継続の難しさ
コンテンツマーケティングにおいて重要となるのは、やはり発信するコンテンツのクオリティ。専門性の高い内容を求められるだけではなく、良質であることも求められるため「クオリティコントロールが難しい」というのが一つの課題です。
「外部のライターに依頼する」といった方法も考えられますが、専門的な知識を求められるライティングを依頼するにはそれなりの費用がかかるものです。
また、「書くこと」には長けていても専門性には弱いライターも多くいるため、執筆においてはより詳細な指示を求められる可能性もあります。そうなってしまうと、自分で書いた方が早いといった事態にもなりかねませんので、ライターへの依頼には慎重さも必要だと言えるでしょう。
定期的に更新して、魅力的なコンテンツを作り続けないと、ユーザーは離れてしまいます。社内で運用担当者を置き、継続的に行いましょう。
コンテンツマーケティングを導入する手順
コンテンツマーケティングを導入する手順は以下の流れです。
1. ゴールを設定する
集客したいのか、採用したいのかなど、そのコンテンツのゴールをまず設定します。コンテンツに接触した人にどのような行動をとってほしいのかを明確にすることが重要です。
2. ペルソナを設定する
誰に向けたコンテンツなのか、ターゲットを設定します。ターゲットがあいまいなままだと、誰にも刺さらないコンテンツになってしまうので、ご注意ください。
3. 顧客のニーズを把握する
顧客が検索エンジンを利用するのは、自分が抱えている問題を解決したいからです。何を求めているのか、顧客ニーズを鮮明に把握することが大切です。
4. カスタマージャーニーマップを作成する
ユーザーが商品やサービスを認知し、検討・購入、購入後に至るまでの流れを旅に見立てたものです。ユーザーの行動、感情、思考などを「見える化」し、図式化したものがカスタマージャーニーマップです。時系列で顧客の行動・感情、思考を可視化することで、これまで見えなかった顧客の課題を洗い出すことができます。
5. メディアを選ぶ
どのコンテンツが一番効果的なやり方なのかを考えます。コンテンツの特性を理解することが大切です。
6. コンテンツを作成する
コンテンツ作成には、構成案やリストを作っておくとスムーズに進みます。自社で制作する場合は、コミュニケーションを密に取り、ブレないようにすることがポイントです。専門業者に丸投げすると、会社の特徴がぼんやりしたままの魅力のないコンテンツになることもあるので、気を付けましょう。
参考記事:コンテンツ制作の流れとポイント|作成方法別のメリット・デメリットを解説
7. 効果測定する
コンテンツが公開された後は、アクセス解析で効果を測定します。アクセス解析を活用すると、どこから来ているのか、どんな目的なのか、どのような動きをしているのか、何に関心を持ったのか、などが分かります。効果を測定することで、マーケティング戦略につなげることが可能です。
現在は、GA4(Google Analytics4) に移行されておりますが、GA4と Google Search Console(グーグルサーチコンソール)で記事を計測する必要性があります。
まとめ
コンテンツマーケティングとは、見込み客のニーズに合ったコンテンツを提供して、継続して読み続けてもらうことで、最終的に売上につながる行動を取ってもらう一連の手法です。消費者の購買行動が変わり、「売り込み」を敏感に察知するようになったことも要因で、コンテンツマーケティングの必要性は今後ますます高まることでしょう。
カッティングエッジ株式会社は、長年のWEBマーケティング経験で得たノウハウを提供するSEOコンサルティング。鋭い槍(やり)のような研ぎ澄まされた感性で、WEB集客やWEB戦略をサポートします。コンテンツマーケティングで悩んでいる方はお気軽にご相談ください。
カッティングエッジ株式会社 代表取締役 竹田 四郎
WEBコンサルタント、SEOコンサルタント。WEBサイトの自然検索の最大化を得意とする。実績社数は3,000社を超える。
営業会社で苦労した経験より反響営業のモデルを得意とし、その理論を基に顧客を成功に導く。WEBサイトやキーワードの調査、分析、設計、ディレクションを得意とする。上級ウェブ解析士、提案型ウェブアナリスト、GAIQの資格を保有する。著書:コンテンツマーケティングは設計が9割