投稿日:2024年9月24日 | 最終更新日:2024年9月24日
ブランディングという言葉は「Brand + ing」という構成からもわかるように「ブランド」を形成・確立していくために行うさまざまな活動を指す言葉です。「ブランド」という言葉は、かつて放牧されていた家畜に「この家畜は私の所有物です」と他者と区別するために焼き印を押していたことが語源です。
それが現代になり、似通った商品や競合商品との区別し、取引相手や一般消費者に認識してもらうための施策がここに内包されるようになりました。『ブランド』というものには、商品名・商標・ロゴマーク・パッケージデザイン・サウンドロゴなど、多くの要素が含まれ、これらが組み合わさることによって形成されています。
これらによって形成された『ブランド』というものを、より広く世の中に認知させることによって、市場のニーズを把握し、自社商品やサービスの強みや市場での立ち位置をより明確にしていく活動が「ブランディング」です。
ブックマーケティングとは
ブックマーケティングとは、端的に言うと「出版することによってブランディングに活かすマーケティング手法」です。言わば「著者として出版する」ということです。既存コンテンツを出版用に転用することも可能ですし、出版用に作成した原稿をオウンドメディアに転用することも可能で、効率的に活用できます。
ブックマーケティングの6つの魅力
ブックマーケティングのメリットは多岐にわたりますが、特に以下の6点が挙げられます。
1. 著者として対外的な箔を手に入れられる
あなたがフリーランスの個人事業主や企業の経営者である場合、自著を出版することで「経営者」以外に特定分野の「著者としての先生」という箔を手に入れることができます。
コンサルタントや専門家は、他と差別化され、「本を出している先生」として一層の信頼を得ることができます。コロナの影響でZOOMなどのWEB会議システムが普及し、オンラインミーティングやオンライン営業が基本となりつつあります。そのため、商談相手となる見込み顧客が営業の前に書籍を読んでいるケースも増えています。
企業や製品を説明する前から認知しているため、著者自身ではない一担当者でも書籍が出版されていることで営業展開が行いやすくなります。
2. 自社スタッフの社員教育、新人教育になる
正社員、派遣社員、アルバイト、外注スタッフ問わず社内教育に役立ちます。
新入社員の入社前に内定者インターンを行う企業も増えてきています。企業としては先行して社員教育を行い、4月から即戦力化できるようにするのが狙いの1つでしょう。
企業の社長が出版すると、組織のトップの考えや企業理念を直接共有することができます。スタッフの会社の理解度は向上し、定着率向上につながるケースもあります。社外に対してではなく、社内に対してのブランディング(インナーブランディング)にもつながります。
3. セミナー、勉強会に活用できる
出版したコンテンツがハブとなり、さまざまなタッチポイントを増やすことができます。
SNSの拡散、メディア掲載、問い合わせの発生、研修セミナー・イベントオファーなどの機会を得ることができます。行政機関や各種協会、企業から勉強会やセミナーの講師として呼ばれる可能性もあります。
読者は書籍の内容をさらに深く理解したいと考え、著者との交流を望むケースが多いです。書籍をテーマにした勉強会やセミナー開催することは、そういった読者のニーズを満たし、著者としても読者の顔が見えるという、双方にメリットがあります。
4. マーケティング活動を合理化でき、見込み客を啓蒙できる
見込み顧客を獲得する施策として、テレアポ代行会社やDM代行会社を検討したことがあるかもしれません。他にも近年はリード獲得のための一括資料請求サイトやホワイトペーパーの配信メディアも増えてきました。
そういったリード獲得施策の利用者からは、お問い合わせの内容や獲得したリードを「もっと濃いものにしたい」という声を聞くこともあります。このようなニーズにも書籍出版は応えることができます。
他のリード施策と大きく違う点は、書籍出版の場合、有料で販売している書籍をユーザー自らが購入するという点から、「そもそも目的意識の低い」や「なんとなく」という人はあまり存在しません。BtoB、BtoCの企業が行っている、企業や人が抱える何らかの課題を解決する事業をテーマとした本であればなおさらでしょう。
そういった興味関心の高い読者に対して、書籍の中で特典を付与して、個人情報を入力していただくプロセスを設計すれば、「濃いリード」を収集することができるのです。そのような濃いリードに対して、「セミナーの案内」「資料送付」「通信講座の案内」など、さまざまな案内が可能になります。
5. 各種媒体へのコンテンツ転用
オウンドメディアやホワイトペーパー、PR記事など、これまで制作してきたコンテンツを使って書籍にする方法もありますが、逆に先に書籍を制作して書籍のコンテンツをオウンドメディア用に修正して記事展開することもできます。
どちらの方法と取るにせよ、制作したコンテンツが無駄になることはありません。コンテンツを1つ作るのは多大な労力がかかりますので、できればいろいろな用途に利用したいところです。
リスティング広告と比較すると、コンテンツマーケティングの集客効果は即効性には欠けるというデメリットがあります。制作したコンテンツをさまざまな媒体で展開することで、集客効果を得るための時間効率を前倒しすることができます。
6. E-A-Tを高める対策となる
E-A-Tとは、Googleの「検索品質評価ガイドライン」で解説されている「Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)」の頭文字をとった言葉です。
専門性、権威性、信頼性の3つの要素から構成され、特にYMYL(お金や健康、生命に関わる情報)と呼ばれるジャンルでは、E-A-Tが高いコンテンツが上位表示されやすくなります。
書籍出版は、著者やコンテンツの専門性と信頼性を高める効果的な手段です。特に、ナレッジパネルに掲載されることで、Google検索におけるコンテンツの信頼性が向上し、より多くの人に読まれる可能性が高まります。
Googleは何よりもユーザーファーストを重視しています。検索行動において、関連性と信頼性の高い情報をすばやくユーザーにお届けする仕様になっています。
YMYLとの関係
YMYLとは、Googleの「検索品質評価ガイドライン」で解説されている「Your Money or Your Life」の頭文字をとった言葉です。お金や健康、生命に関わる情報は、人々の日常の生活や人生に大きく影響するジャンルになります。
YMYL領域に関して、Googleはコンテンツの評価をより厳格に行っており、検索ユーザーにとってより安心安全な情報が届くように、検索結果の品質を高めようとしています。信憑性に欠けるサイトや間違った情報が掲載されているサイトが上位に表示されると、見た人の人生を左右してしまうからです。
ナレッジパネルに掲載されることの意義
E-A-TやYMYL対策は、こうすればスコアが上がるというものはありませんが、ナレッジパネルに掲載されるということは、著者やコンテンツの出自が公に明確になるということです。
ナレッジパネルに掲載されている著者、担当者がコンテンツを執筆することで、対象の記事の信頼性はさらに高まると考察できます。
オウンドメディアの記事を執筆者や専門家が出版するメリットはブランディングだけではなく、著者としての権威性向上にもつながるのです。
まとめ:ブックマーケティングの可能性
ブックマーケティングは、自社のブランディング強化だけでなく、専門家としての地位確立や、見込み客への啓蒙にも有効な手段です。
特に、コンサルタントや専門家、企業の経営者など、専門知識や経験を有する方にとっては、書籍出版は自身の価値を世の中に発信する絶好の機会となります。また、ホワイトペーパーの代わりに書籍を出版することで、より深く、体系的な情報を提供し、読者との関係性を深めることも可能です。
カッティングエッジ株式会社 代表取締役 竹田 四郎
WEBコンサルタント、SEOコンサルタント。WEBサイトの自然検索の最大化を得意とする。実績社数は3,000社を超える。
営業会社で苦労した経験より反響営業のモデルを得意とし、その理論を基に顧客を成功に導く。WEBサイトやキーワードの調査、分析、設計、ディレクションを得意とする。上級ウェブ解析士、提案型ウェブアナリスト、GAIQの資格を保有する。著書:コンテンツマーケティングは設計が9割