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POD出版とは?Amazonで著者になれるオンデマンド出版を解説

投稿日:2022年6月20日 | 最終更新日:2022年10月27日

そもそもPODってどんな出版方法?

PODとは「Print On Demand(プリントオンデマンド)」の頭文字を取った言葉です。オンデマンド、つまりユーザーから要望があった際に、サービスを提供する形式のビジネスであり、プリントオンデマンドは発注があったらその都度印刷を行うという形式の出版方法となっています。

Amazon(アマゾン)の「著者向けPODサービス」を利用することでどなたでも出版ができるようになりました。

POD出版の強みとは?

POD出版は通常の出版とは違ってどのような強みがあるのでしょうか?他の出版方法とも比較しながら見ていきます。

・初期費用を抑えられる

通常の出版ではまず「どの程度販売できるか?」という部分を考えて、「まず初版として何部印刷するのか?」を決定していきます。この時のコストは商業出版であれば出版社が負担してくれますが、企業出版や自費出版の場合には企業または著者自身が負担することとなりますので、部数が多ければ多いほど初期費用が必要となってくるのです。

POD出版の場合、そもそも初版としてまとめて印刷することが必要ないため、印刷にかかる費用を抑えることができるほか、制作した書籍の保管費用などもかからないのです。

・在庫を抱える必要がない

前述したようにPOD以外の出版方法においては最小ロットでも数十部~100部単位程度から現物の書籍を印刷することが必要となります。それに対してPOD出版の場合には、購入を希望する方から注文が入ってから都度印刷をするため、倉庫に実際の書籍として在庫を置いておく必要がありません。

「在庫を抱えること」はこれまでの出版において当然のことではありましたが、大きなリスクとなるものでもありました。出版における大きな弱点の一つを解決したのがPODという方式だと言えるのです。

・改訂作業がより簡単

紙の書籍として在庫を持っている場合には、改訂にも手間がかかります。初版の在庫が捌けて、重版をする場合にはそのタイミングで内容を変えることも可能ですが、その場合にも「改訂版をどれだけの部数刷るのか?」を考えた上で、ある程度固まった部数の印刷を掛ける必要があります。

PODの場合には、原稿データを修正し改訂版としてPODを提供しているプラットフォームへアップロードすれば次に注文が入った際にはもう新しいデータのものが印刷されます。より最新の情報を掲載しておきたいと考える場合などには非常に便利なシステムと言えるのです。

・「絶版」という考え方が無くなる

一般的な出版方法においては、それ以上を印刷をしなくなる「絶版」という考えがあります。絶版となってしまえば、もうその時点で世の中に存在している印刷済みの本が売り切れたら、それ以上世の中に流通することはなくなってしまいます。あとは、その本を持つ人が他人に譲渡したり、転売などのみということになります。

PODの場合は、プラットフォームが無くならない限り半永久的に出版を継続していくことが可能です。「欲しい」と思う人が存在する限り、書籍を提供することができるという点は画期的な出版方法です。

・電子書籍のデータを流用することができる

印刷費用や在庫のリスクを考えた時、「まずは試しにまずは電子書籍で出版を」と考える人は少なくありません。電子書籍のデータがあれば、多少の修正を加えればPOD用の印刷データに転用することも可能です。電子書籍として世に出すことを選択し、紙の書籍とすることに二の足を踏んでしまっていた人でも、PODなら気軽に入ることが可能なのです。

・決済処理や発送の対応が必要ない

PODに関しては業者にデータを納品すれば、その時点で完了。顧客が購入時にする決済に関する対応や、発送の処理などに対応する必要がありません。紙の書籍でありながらすべてワンストップで対応してもらえてしまうというのは出版する側にとっては煩雑な作業を省くことも出来ますので、大きな魅力の一つとも言えます。

POD出版におけるデメリット

ここまで見てきたように既存の出版方法と比べると初期費用がかなり抑えられたり、在庫を持つ必要が無いことも含めてメリットは非常に大きいのがPOD出版です。では逆に、「どのようなデメリットがあるのか?」を紹介します。

・大部数の場合には向かない

印刷の際にかかる費用について考えれば、PODは一定です。1部印刷しても、10,000部印刷しても仮に印刷費1,200円だとしたら、それは変わりません。

一般的に紙の書籍を印刷する際には、部数が多ければ多いほど印刷費用が抑えられるという利点もあります。一気に大部数を刷ってある程度のリスクを覚悟しておけば、それだけ1冊あたりの利益が大きくなるというスケールメリットの仕組みはPODには存在しないことは理解しておきましょう。

・カラーページの数に応じて価格が高くなる

印刷費用がモノクロとカラーとでは異なり、カラーの方が当然高くなります。そうなると、販売価格にも影響することになりますので、写真集のようにフルカラーでの印刷が必要な場合には、それだけ価格に転嫁する形となってしまいます。

・印刷のクオリティはどうしても下がる

商業印刷や企業出版・自費出版など費用をかける場合の印刷方式は基本的にインクを使って印刷するオフセット印刷である場合が多いです。一方、POD出版においてはトナーを使った方式で印刷する場合が多いため、印刷のクオリティという面から考えると必然的に下がってしまうということは理解しておきましょう。ハイクオリティで印刷にも事細かにこだわりたいという場合には、PODは向かない可能性があります。

・ハードカバーにすることはできない

PODの場合、ペーパーバック形式が基本です。表紙も裏表紙も紙製となります。ハードカバーで、装丁によりこだわりたいといったことを考える場合には向かないかも知れません。帯を掛けることも出来ないため、帯を付けたい場合には最初から帯が付いているように見える形に表紙・裏表紙のデザインをする必要があります。

手元に置いておくものだけはハードカバーにしたいという場合には、販売するものはPODとしてごく小ロットで上製本を作ってくれるメーカーに自分で保存しておく分を制作してもらうという方法も可能です。

・基本的に書店には並ばない

PODの場合は紙でできた書籍が無い以上、現実の書店には並びません。「自分が作った本が書店の店頭に並ぶ」ということを第一の目標としていたり、そのことに対して大きなステータスを感じているのであれば、その願いはPODだけではなかなか叶えることができません。ただし、PODでも猛烈に売上がある書籍であれば、その実績から商業出版への道が開けていく可能性はゼロでは無いでしょう。

・ISBNコードがつかないものが多い

国際標準図書番号(ISBN)は、商業出版など一般に流通される書籍に付与される独自の番号です。PODの場合はこのISBNが付けられなかったり、付けることができても有料オプションで提供されている場合もあります。

このISBNが付いていないと、例えば「近隣の図書館に寄贈したい」と考えた際、寄贈条件として「ISBNが必要」という場合もありますので、ISBNが必要な場合にはオプションなどで付けることができるか?を含めてPODの業者を選ぶ際の条件として考えておく必要があります。

PODに向いている書籍、向いていない書籍

POD出版の特性を見てきた上で、どのような書籍が向いていて反対にどのような書籍はPODには向かないのでしょうか。

・よりPODに向くのは「更新性の高い書籍」

数か月単位で情報をアップデートする必要があるなど、最新の情報を小まめに反映していきたい場合には通常の出版では対応しづらくなります。データの修正によって、内容を更新できるPODの方が向いていると言えます。

また、世界情勢の激烈な変化が起こった場合など「緊急で出版したいことがある」となった際のスピードという意味ではPOD出版が向いている場合もあるでしょう。

・PODに向かないのは「こだわりを形にしたい書籍」

色の再現性や印刷のクオリティ・装丁にこだわりたいという場合には、やはりPODは向きません。また、フルカラーの場合には印刷にかかる費用が大きくなるという性質を考えると特に写真集や絵本などにはあまり向かないという結論になります。しかし、POD出版できないわけではありませんので、クオリティやこだわりについてある程度許容できる場合には、選択肢として考えても良いでしょう。

POD出版まとめ

商業出版は出版社が制作費用を持つためハードルが高く、企業出版や自費出版の場合には費用負担が大きいためそう簡単に出版をすることが出来ないと悩む方も多くいらっしゃるでしょう。そんな時に有力な候補となり得るのがPOD出版です。

「費用を捻出するのはなかなか難しいけれど、紙の書籍を出しているという実績は、ブランディングやアピールポイントのためにも作っておきたい」そんな場合には、PODで一度のテストマーケティングも兼ねてPOD出版と電子書籍を併用してみて、反響が大きければ企業出版やブランディング出版というステップに進むという方法も良いのではないでしょうか。

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