投稿日:2024年1月22日 | 最終更新日:2024年10月24日
「ブランディング」の中でも、より個人に焦点を当てたブランディング手法として「パーソナルブランディング」「セルフブランディング」と呼ばれる手法も存在しています。
「個人」による発信のハードルが下がった現代においては、SNSなどを活用してより「顔の見えるブランディング」を展開することが可能となりました。
その手法や、実施する上で注意すべきことを考え「パーソナルブランディング」をはじめてみませんか?
ブランディングとは?詳しい記事はこちら↓
パーソナルブランディングとは?
「パーソナルブランディング」とは、企業や団体・組織に所属している個人や関係者についてブランディングしていくことを指す言葉として多く使われています。似た言葉として「セルフブランディング」という言葉も存在し、「企業に所属している/していない」で使い分けしているという場合もあるようですが、実際に両者に明確な差はありません。
どちらも「個人をブランディングすること」によって、企業が提供している商品やサービスの価値をより高めるという効果も望むことができます。
顧客との信頼関係の構築やビジネスチャンスの創出にもつながります。
パーソナルブランディングはなぜ必要か?
「パーソナルブランディング」は絶対に必要なものというわけではありません。企業に関わりのある個人について全面に打ち出すことが適している商品もあれば、そうでない場合ももちろんあるからです。
パーソナルブランディングは、すべての人や企業に必須というわけではありません。商品によっては、個人を前面に押し出すことが適さない場合もあります。
しかし、以下のような場合には特に効果を発揮します:
- 対人サービス業での信頼関係構築
- 専門家としての認知度向上
- 個人事業やフリーランスの差別化
- オンラインビジネスでの存在感確立
人を相手にするビジネスにおいては「顔が見えること」で安心感や信頼感、親近感を抱くという効果も見込むことができるため「パーソナルブランディング」をするということが大きなプラスになることもあるのです。
伝統的な成功例
代表的な例として、アップルのスティーブ・ジョブズが挙げられます。黒のタートルネックとジーンズというトレードマークの姿で行う新製品発表は、世界中で話題を呼び、製品への期待感を高める重要な要素となりました。
日本では松下幸之助や本田宗一郎のほか、「ジャパネットたかた」の高田明前社長や、「私が社長です」というキャッチフレーズで知られるアパホテルの元谷芙美子社長などが成功例として知られています。
現代的な成功例
数百万人のフォロワーを持つビジネス系インフルエンサー
独自の専門性を活かしたYouTuber
SNSでの情報発信で顧客を獲得する士業や専門家
オンラインサロンを運営するビジネスパーソン
パーソナルブランディングのメリット・デメリット
「個人」「自分自身」などにフォーカスされる「パーソナルブランディング」に長所もあれば短所も当然存在します。ここでは、代表的なメリットとデメリットについて考えていきたいと思います。
パーソナルブランディングのメリット
パーソナルブランディングによって「個人」の価値や評価が高まれば、さまざまなメリットが生まれます。
信頼性を高めることができる
「個人」がブランディングされることによって、その人が発信する内容に対する信頼性が自然と高まるようになります。同じ内容を発言したとしても、パーソナルブランディングが確立されている人であれば「〇〇さんが言っているから」という風に自然と言葉に説得力が生まれる効果が期待できます。
- 発信内容への信頼度向上
- 「〇〇さんが言うなら」という説得力の獲得
- 専門家としての地位確立
- 商品・サービスへの信頼転換
人脈をベースにした広がりが期待できる
人を全面に押し出したブランディングによって「人とのつながり」がより色濃くビジネスに反映されるように。個人をベースにした人からの紹介などによってそれまであまり関わりの無かった業種や分野の企業や個人とのやり取りが生まれるなど、新たなビジネスを開く可能性が広がります。
- 異業種との新たな接点創出
- 紹介やコラボレーションの機会増加
- コミュニティの形成と拡大
- ビジネスネットワークの構築
収益機会の創出
パーソナルブランディングが成功すれば、個人としての影響力が高まり、さまざまな収益機会が創出されます。以下のような具体的な方法で、新たなビジネスチャンスが得られます。
- 講演やセミナーの依頼
ブランディングが確立された個人には、講演やセミナーでの登壇依頼が増えることがあります。特に業界での専門性や実績が評価されると、報酬のある講演やイベントへの出演が機会となります。
- コンサルティング案件の獲得
パーソナルブランディングによって、その分野における専門家としての立場が確立されると、企業や個人からのコンサルティング依頼が増えます。これは、収益を増やす直接的な方法の一つです。 - 著書やオンラインコンテンツの展開
自らの経験や知識を活かして書籍やオンラインコースを展開することも、ブランディングがもたらす収益機会の一つです。特に、信頼性のある個人の発信するコンテンツは、出版業界やデジタル市場での需要が高まります。 - 新規事業やプロジェクトの立ち上げ
ブランディングが成功すると、周囲から新たなビジネスパートナーや投資家が集まりやすくなり、新規事業やプロジェクトの立ち上げが実現しやすくなります。これにより、さらに大きな収益機会を創出することが可能です。
パーソナルブランディングのデメリット
パーソナルブランディングにおける大きなデメリットは、良くも悪くも一個人の評価や評判がブランドや商品、企業にも多大な影響を及ぼすということです。
「人」にフォーカスしてブランディングをおこなうことは「諸刃の剣」であり、仮に個人が問題を起こしてしまった場合には、ブランド全体を毀損することとなってしまいます。
法令に反する行動などはもちろんですが、メディア等に露出する人物に対して清廉さや品行方正を求める傾向が高まっている現代においては倫理違反によってもイメージの低下が起こる可能性が高いため、パーソナルブランディングの対象となる人物には高い倫理観が求められるということも認識しておかなくてはなりません。
また、企業がパーソナルブランディングを活用する場合にはブランディング対象が「人」であるため退職や転職によって組織を離れる可能性がある人物よりも創業者や経営者などの方が向いていると言えるでしょう。以下に詳細をまとめました。
リスク管理の必要性
パーソナルブランディングを行う上での大きな課題は、個人の発言や行動が企業全体に影響を及ぼすことです。特に、SNSでの発言は瞬時に広まり、炎上リスクが高まる可能性があります。また、個人情報の管理やプライバシーの保護も重要な課題となります。こうした状況下で、ブランディング対象となる人物には高い倫理観と慎重な言動が求められます。
継続的な負担
パーソナルブランディングは一度構築すれば終わりではなく、継続的な取り組みが必要です。定期的な情報発信を行い、コンテンツの品質を維持し続けることが求められます。また、時代やトレンドの変化に対応し、最新の情報を発信することも不可欠です。こうした活動には時間と労力が継続的に必要であり、負担が大きい点もデメリットと言えるでしょう。
組織との関係性
個人のブランドが企業の成功に直結している場合、退職や転職はリスクとなります。また、パーソナルブランディングによって築かれた信頼や人脈が組織のものか個人のものかといった「ブランドの所有権問題」も発生する可能性があります。さらに、個人の活動範囲が組織の方針や利益と衝突する場合、利害調整が必要になることも考慮すべき点です。
パーソナルブランディングを確立するための方法
現代において個人を前面にブランディングする場合には、気軽に活用ができるTwitter,Facebook,InstagramなどのSNSでの発信は欠かすことができません。
また、ブログや自らのサイトを作成して情報を発信するというのも有効な手段。インターネットを活用して自社の商品やサービスのブランディングを展開することが大前提となるという点は頭に置いておきましょう。
ここからは、具体的なブランディングの手段を考えていきます。
USPの確立
「パーソナルブランディング」する上で、重要なことは「何が自分の強みになるのか?」を明確に考えて打ち出すこと。マーケティング用語ではUSP(Unique Selling Proposition)とも呼ばれています。
大会での「日本一」や「世界一」といったわかりやすい受賞歴があればそれをUSPとすることが可能ですが、なかなかそういったものがある方ばかりではありません。
そういう場合には、資格や自分の仕事における実績を棚卸しながら考えてみてください。「1時間に〇〇万円売り上げた商品を見出した伝説のバイヤー」「倒産寸前の状態から企業を〇社救ったコンサルタント」といった看板になるような仕事があればそれでも良いですし、「ちょっとした工夫で売上を〇%アップした宣伝マン」などこれまでのあなたのことを踏まえ、ターゲットとしたい層に刺さるようなUSPに工夫を凝らすことも大切です。
USPのポイント
強みの見つけ方
- 受賞歴や資格
- 独自の経験や実績
- 専門知識や技術
- 個性的な視点や考え方
具体例として:
- 「1時間に〇〇万円売り上げた商品を見出した伝説のバイヤー」
- 「倒産寸前の状態から企業を〇社救ったコンサルタント」
- 「SNSマーケティングで売上を〇%アップさせた実績を持つ戦略家」
- 「〇万人のフォロワーに影響を与えるインフルエンサー」
キャラクター設定による展開
「個人」にフォーカスしてブランディングおこないたいと思っていても、自分自身を表に出すということに抵抗があるという場合もあると思います。そんな時は、キャラクターを作りそれを発信の軸に据えるということも可能ではあります。「キャラクター」と言うと、アニメのような絵や「ゆるキャラ」のようなものが無くてはいけないのか?などと感じる方もいるかとは思いますが、そんなことはありません。
近年の企業のSNS担当によくあるパターンのような「中の人」というやり方でも構わないのです。複数担当する方がいる場合には、キャラクターの一貫性や言葉の使い回しなどにも統一性を持たせるため、事前に大枠となる設定を決めておくようにしましょう。
キャラクター設定によるポイント
- 「中の人」としての発信
- 専門分野に特化したペルソナの確立
- 一貫性のあるキャラクター設定
- ビジュアルアイデンティティの統一
情報発信の戦略
ビジネス上では専門的な用語を活用する場面が多く登場すると思います。ターゲットと想定する相手を専門知識を豊富に持っている人と絞り込んだ上でブランディングする場合には、それでも良いでしょう。しかし広く一般に向けたパーソナルブランディングを考える場合には、難しい言葉では伝わりづらいことも。より多くの方に対して情報の拡散や浸透を図ると考える場合には、より平易な言葉による情報発信が重要なポイントであると意識しながら取り組むことが大切です。
わかいりゃすい情報発信のポイント
コンテンツの質と表現
- 専門用語は必要最小限に抑える
- 読者目線での分かりやすい説明
- 実践的で価値のある情報提供
- 独自の視点や知見の付加
ターゲット層に合わせた発信
- 業界専門家向け:より専門的な内容
- 一般向け:平易な言葉での解説
- ビジネス初心者向け:基礎からの段階的な説明
- 実務者向け:すぐに活用できる実践的な情報
継続的な取り組み
『「パーソナルブランディング」をするぞ』と取り組みを始めた時点では気合が入っているためSNSの発信に力を入れるという方もいらっしゃいます。しかし、ブランディングは短期的な取り組みで結果が出るものでは無いのです。
ダイエットのように「無理なく取り組むこと」がパーソナルブランディング/セルフブランディングの成功のカギと考え、定期的に継続して発信することを心掛けておきましょう。
継続的な取り組みのポイント
継続のためのコツ
- 無理のない投稿頻度の設定
- コンテンツ制作の計画的な準備
- フォロワーとの適切な交流
- 定期的な方向性の見直し
効果測定と改善
- フォロワー数や反応の分析
- コンテンツの反響確認
- 新規取引や問い合わせ状況の把握
- 必要に応じた戦略の微調整
パーソナルブランディングまとめ
本記事のまとめになりますが、以下の点を意識して取り組むことで、効果的なブランド構築が可能となります。
- 明確な強みの確立
- 適切なプラットフォームの選択
- 一貫性のある情報発信
- 継続的な活動とPDCAサイクル
商品やサービスによって向き不向きは存在しますが、パーソナルブランディングを始めることの難易度自体はそれほど高くありません。戦略的に考え、継続的に取り組むことで、個人と企業の価値向上につながる大きな効果を生み出すことができます。
カッティングエッジ株式会社 代表取締役 竹田 四郎
WEBコンサルタント、SEOコンサルタント。WEBサイトの自然検索の最大化を得意とする。実績社数は3,000社を超える。
営業会社で苦労した経験より反響営業のモデルを得意とし、その理論を基に顧客を成功に導く。WEBサイトやキーワードの調査、分析、設計、ディレクションを得意とする。上級ウェブ解析士、提案型ウェブアナリスト、GAIQの資格を保有する。著書:コンテンツマーケティングは設計が9割