投稿日:2025年8月13日 | 最終更新日:2025年8月13日
前作「コンテンツマーケティングは設計が9割」は出版社経由で独自ISBNと広域流通でしたが、今回「Kindle・POD出版で高まるEEATとサイトSEO戦略」はあえてKDPの無料ISBNに振り、POD(Print On Demand:紙書籍)まで出す設計でナレッジパネルの表示を狙いました。鍵は、Google Booksには“PODの書誌だけ”を載せ、電子はKDPセレクトの専売を厳守すること。Amazon内の露出を最大化しながら、Google側では著者・書籍の存在証明(エンティティ化)を進める──この両立をどう作ったかを、私の手順と判断でまとめます。

なぜナレッジパネルに掲載されるとSEOで有利で、AIO/LLMOにも強くなるのか

結論はシンプルで、公的に“著者エンティティ”があなたのコンテンツに紐づくからです。ナレッジパネルは、Googleのナレッジグラフ上で「著者=この人物」という固有ノードが立ち、書籍・記事・プロフィール・サイト等が機械可読な形で一つに束ねられている状態の可視化です。これにより同姓同名の混同が減り、あなたの発信が一貫した“人格”として検索・生成AIの双方に理解されます。
正直、SEO目的で紙の書籍を出版されている企業や著者は少ないと思います。昨今のAIOやLLMO対策を考慮していくと、戦略的に出版を行い、自社、自身のエンティティ向上、パーソナルブランディングが避けられないと考えております。
なぜ効くのか:SEO/AIO・LLMOの観点 まとめ
- エンティティ確定:著者・書籍・出版社が機械可読に束ねられ、同姓同名の取り違えが減る。
- 表示面の強化:指名検索でパネル/書籍カードが出やすく、CTRが上がる。
- 生成AI向けの“話者の信頼”:既知の著者ノード+一次情報(Amazon/Google Books書誌/自社構造化)が参照されやすい。
SEO側のメリット|“誰が語っているか”の帰属が明確になる
検索結果はキーワード一致だけでなく、エンティティ同士の関係性で再構成されます。著者ノードが確立すると、あなたが執筆した記事や書籍、出演メディア、公式サイトが正しく集約・帰属され、指名検索(名前+テーマ)や関連検索での露出が安定します。パネルは検索結果の“顔”としてE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼)を視覚的に補強し、結果的にクリック率や再訪率の改善が見込めます。
※直接の順位要因と断言はしませんが、帰属の明確化=評価の取りこぼしを減らす効果が大きいです。著者の“帰属の誤差”を減らし、評価を一点に集められるのがSEOでの利点です。
AIO/LLMO側のメリット|信頼可能なエンティティが参照されやすい
生成AIは回答を組み立てる際、信頼度の高い既知エンティティとその一次情報を優先参照する傾向があります。著者ノードが立ち、Google BooksのPOD書誌やサイト側の構造化データ(Article/Author/FAQ/sameAs)が整合していると、「誰の言説か」を判別しやすく、あなたの著書や公式ページが引用・要約の対象に選ばれやすくなります。
“既知の著者”として登録されているほど、AIO/LLMOで参照される確率が上がるという理解でOKです。
※メディア側(ブログ運営側)も構造化マークアップが必要なのですが、今回はその説明は一旦除外させていただきます。構造化マークアップがされている前提でお話させていただきます。
実装と結びつき|POD×Google Books(書誌のみ)×KDPセレクトの役割分担
電子書籍(Kindle)はKDPセレクトで専売を維持し、Google側にはPODの書誌だけを届ける。販売とレビューはAmazonに集中させつつ、ナレッジグラフには実在する書誌と著者を提示する――この分業が“露出の最大化”と“存在証明”を同時に満たします。著者セントラル、自社サイトの著者ページ、構造化データ、sameAsの一貫性まで揃うと、検索でも生成AIでも同一人物としての認識精度が上がります。
販売はAmazonに一点集中、認識はGoogleに正しく伝達――この二刀流が、SEOとAIO/LLMOの両面で効きます。
これ正直お得です。まだまだ研究中ですが、AmazonのKindleストア内(Amazonのモール内でもAmazon内SEOも狙えるためです。)Amazonの書籍に良質なレビューがつけばつくほど、販売にも信頼性向上につながりますし、Amazon内SEOにも有効ですし、オウンドメディアのEEAT向上にも繋がります。
Amazonの専売契約「KDPセレクト」を選択するとKindleUnlimitedの対象になりますし、Amazonが優先して露出してくれるようになります。
無料ISBN×PODでナレッジパネルを狙った理由

※上記の画像は、Before:20%プレビューが出ていた画面(キャプション「設定前」)現在は、設定済み
AIO/LLMO時代の検索は、内容に加えて「誰が話者か」という信頼軸が強く参照されます。PODで紙を出すと、書誌データやレビュー、外部言及が積み上がり、著者=実在のエンティティとして認識されやすくなる。無料ISBNでもその土台は作れますし、スピードと再現性の面でも現実解でした。
私は、どの企業でも誰でも実現可能かどうか?この再現性を図るうえであえて実践してみました。一般の方や少し出版に興味がある方が独自ISBNを取り、出版社登録をして出版をするのはコストもかかります。自社ISBNを間借りさせてくれるサービスもありますが、最低でも5,000円以上かかりますし、日本図書コード管理センターで1つだけ取ると11,000円(税別)がかかります。
売れるかどうか不明なところもあるため、であれば無料ISBNから始めるのが大多数な方、ほとんどの方が選択するプロセスです。
実験の設計:KDP無料ISBN+Google Booksは「PODだけ」を掲載

KDPでPOD前提に原稿と体裁を整え、無料ISBNを付与。公開後はGoogle BooksにPODの書誌だけを登録し、本文PDFは供出しているが“表示は無効化(プレビューなし)。目的は読ませることではなく、正確な紐づけ。これでGoogleのナレッジグラフ側に“著者と書籍の存在”を示しつつ、流通や売上の主戦場はAmazonに集中させます。
KDPセレクトを守る判断:電子を外部に出さない

電子までGoogle Booksに載せるとKDPセレクトの専売ポリシーに抵触しかねません。電子の可読データはAmazonだけに置き、Googleには紙の書誌だけを届ける。専売のメリットを維持しながら、Amazon内SEOとレビュー導線を最大化できました。規約は変わるため、ここは都度確認が前提です。
電子書籍の場合、プレビューは概ね、実務上の安全域として10%程度にとどめるのが通例です。Google Booksでは、10%以内の表示と指定ができないため、PODだけを指定することで電子書籍の規約違反を回避することが可能になります。Google Booksでの最低限のプレビュー指定は20%です。その上で著者情報の設定でPDFの表示をしますか?「いいえ」を選択します。
今回は、無料ISBN版で登録しているので、Independently publishedで統一しています。
※「KDPセレクト」や諸々出版のの説明は、著書「Kindle・POD出版で高まるEEATとサイトSEO戦略」で解説をしていますので、気になりましたらお手に取っていただけますと幸いです。
ナレッジパネル獲得の実装の流れ

ここからは、ナレッジパネル獲得までの実務フローを一気に通します。やること自体は難しくありませんが、順番と“どこに何を出すか”を誤るとKDPセレクトの専売に触れかねません。まずPODを前提に原稿と体裁を固め、ISBNの方針を確定。著者セントラルと自社サイトの表記を揃え、Google BooksにはPODの書誌のみを登録。公開後はAmazon内の導線とレビュー設計を整える——この流れで、コストを抑えつつ著者エンティティの実在感と可視性を高めます。
POD前提の制作
表紙、奥付、巻末導線(著者サイトや著者ページへのQR/URL)を先に設計。本文は各章に定義・要点を配置し、AIO/LLMOに要約されても意味が崩れない骨格を整えます。
ISBNの選択
今回は無料ISBN。発行者名はAmazon系表記になりますが、POD中心の運用では十分実用的です。自社名義や広域流通を強化したい場合は次回以降に独自ISBNで検証します。
著者面の連動
Amazon著者セントラルを最新化し、自社サイトの著者ページと構造化データ(Article/FAQ/パンくず)を実装。書籍とサイトを相互に参照させ、指名検索を増やします。
※弊社では、Schema & Structured Data for WP & AMP(SASWP の無料版のプラグインを使っております。
Google BooksはPODの書誌のみ
PODのISBNでタイトル、著者名、要約、カテゴリ、書影を登録し、本文PDFは供出しているが“表示は無効化(プレビューなし)に設定しています。目的は“読ませる”ではなく可視化です。
公開後の初動
Amazon内でA+やキャンペーンを回しつつ、自然発生的なレビューが生まれる情報設計に集中。自社側では関連コラムを追加し、内部リンクと指名検索を底上げします。実際に星5のレビューを約1ヶ月で6件獲得することに成功しました。

無料ISBNと独自ISBNの使い分け

無料ISBNは費用ゼロ・即時発行で運用が軽い反面、発行者名の見栄えや他書店流通はされません。あくまでAmazon内だけの販売となります。自社名義・図書館・広域流通まで攻めるなら独自ISBNが有利です。私はまず無料ISBNで再現性を実証し、次は独自ISBNでサイテーションの質と流通幅の差分を検証していきたいなと思います。
なぜ紙(POD)なのか
電子のみよりも、紙があると実在感と参照密度が上がります。AIO/LLMOは信頼できる一次情報と書誌を優先するため、レビューや引用、外部言及が重なるPODはエンティティ強化の近道でした。
品質リスクとやらないこと
薄い本で急ぎ露出を狙うと、低評価が固定化しディスブランディングになります。表記ゆれ(著者名、肩書、発売日、発行者名)は厳禁。特にKDPセレクト期間は電子本文を外部に出さない──ここを外すとモデル自体が崩れます。
「Kindle・POD出版で高まるEEATとサイトSEO戦略」この書籍もAIを編集で使っていますが、私の制作プロセスでも時間はそれ相応に時間はかかっております。目視で最終的にすべて編集は行っております。
よくある質問(FAQ)
無料ISBNでもナレッジパネルは出ますか?
A. 狙えます。発行者は Independently published で統一し、Google Booksは“書誌のみ・プレビューなし”に。自社サイトのBook/Person/OrganizationとsameAsを整合させるのが鍵。
独自ISBNに切り替えるベストタイミングは?
自社名義の信頼性を前面に出したい、書店流通や図書館納入を広げたい段階です。既刊の次版や第三弾で移行し、サイテーションの質を比較すると効果検証しやすいです。初期費用の発生を許容できることと、本格的にブランデンイグをお考えの場合、独自ISBN取得を検討してもよいかもしれません。
次作で独自ISBNにするメリットは?
版元名を自社名で統一でき、外部流通や図書館対応、サイテーションの質と幅を伸ばせます。
すでにGoogle Booksに電子ファイルを上げてしまった場合の対応は?
KDPセレクト中なら、まず方針を専売に合わせる必要があります。電子の外部公開をやめ、書誌のみの掲載に切り替えたうえで反映を待ちます。運用は最新規約に従ってください。
ナレッジパネルの表示までどれくらいかかりますか?
ケースバイケースです。私の実感では1.5ヶ月~2ヶ月の幅があります。実際に私の場合だと、2025年7月1日にPOD書籍をリリースして、約4週間でGoogleBooksに掲載、その後2週間でナレッジパネルに掲載。
但し、著者名表記や発行者表記の統一、サイト側の構造化データ、著者セントラルの整備などが前提になります。A+コンテンツの設計や、書籍の口コミ、テキスト量も起因すると思います。メディア側でできることは構造化マークアップの実施です。ペンネームでも大丈夫ですか?
可能ですが、全チャネルで同一表記を徹底してください。漢字・カナ・ローマ字の揺れ、肩書の表記違いは避けます。EEATの観点から言うと、ペンネームよりご自身の氏名のほうが有利になります。
サイト側でやっておくべき最低限は?
著者ページの整備、Article/FAQ/パンくずの構造化データ、書籍ページからAmazonへの導線、巻末QRの設置です。表記の一貫性が何より重要です。
次の一手:自社ブログを増やし、トラフィックの優位性を監視する
本で立てたテーマを自社ブログで連載化し、関連語を広く深く取りにいきます。Amazon内の順位・CVR・レビュー推移と、サイト側の指名検索・自然流入を並走監視。AIO/LLMOでの引用はスクショで時系列に残し、どの表現が参照率を押し上げたかを分析して、次の増補改訂に反映します。
さらに、次の書籍では、独自ISBNを取得してさらなるサイテーション効果の向上を検証していきたいと思います。また、有用な情報は共有させていただきます。
まとめ
KDP無料ISBN×PODだけGoogle Books掲載で、専売を守りながらナレッジパネルを狙うことは十分に可能でした。短期のテクニックより、一次情報と整合した書誌を積み上げ続けること。地味ですが、最終的にいちばん効きます。
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カッティングエッジ株式会社 代表取締役 竹田 四郎
WEBコンサルタント、SEOコンサルタント。WEBサイトの自然検索の最大化を得意とする。実績社数は2,500社を超える。
営業会社で苦労した経験より反響営業のモデルを得意とし、その理論を基に顧客を成功に導く。WEBサイトやキーワードの調査、分析、設計、ディレクションを得意とする。上級ウェブ解析士、提案型ウェブアナリスト、GAIQの資格を保有する。著書:Kindle・POD出版で高まるEEATとサイトSEO戦略 コンテンツマーケティングは設計が9割