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ビジョン(vision)とは?ミッションとバリューの違いをわかりやすく解説

投稿日:2024年8月2日 | 最終更新日:2024年9月19日

企業経営において非常に重要な「ビジョン」について、わかりやすく解説していきます。ビジョンって聞いたことはあるけど、実際どんな意味があるの?ミッションやバリューとどう違うの?そんな疑問にお答えしていきます。

経営者の方はもちろん、会社員の方も、自分の会社のビジョンを理解することで、仕事への取組み方が変わるかもしれません。それでは、ビジョンの世界に飛び込んでいきましょう!ビジョンの重要性は、ビジネスにおいて大きな役割を果たします。

ビジョン(vision)とは何か?

ビジョンとは、「企業が目指す未来の姿」のことです。でも、ただの夢物語ではありません。実現可能で、かつ魅力的な未来像を描くのがビジョンの役割なんです。

例えば、テーマパークを経営する会社のビジョンを考えてみましょう。「世界中の人々に夢と感動を届けるエンターテインメントの聖地となる」というのが、そのビジョンかもしれません。

ビジョンは、企業の「コンパス」のようなものです。航海に例えると、ビジョンは会社の灯台です。どんなに荒波にもまれても、この灯台さえ見失わなければ、必ず到達できるはずです。

ビジョンは一般的に、以下の要素を含んでいます:

  1. 長期的な展望(5年後、10年後、あるいはそれ以上)
  2. 挑戦的かつ実現可能な目標
  3. 企業の存在意義や社会的価値
  4. ステークホルダー(従業員、顧客、株主など)にとっての意味

例えば、電気自動車メーカーのテスラのビジョンは「持続可能なエネルギーへの世界の移行を加速させる」です。これは、テスラが描く理想的な未来を示しています。

また、アマゾンのビジョンである「地球上で最もお客様を大切にする企業になる」は、アマゾンが描く理想的な未来の姿を示しています。

ビジョンを持つことで、会社全体が同じ方向を向いて進むことができるのです。

ビジョンとミッションの違いとは?

ビジョンとミッション、似ているようで実は大きく異なります。この違いを理解することで、企業の目的と方向性がより明確になります。

ミッションは現在の役割や目的を定義する

一方、ミッションは企業の現在の存在意義や役割を示します。「なぜこの会社は存在しているのか」「何を実現するために事業を行っているのか」といった問いに答えるのがミッションです。

例えば、グーグルのミッションは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」です。これは、グーグルが今現在果たそうとしている役割を明確に示しています。

ミッションは、企業の「使命」とも言えます。社員一人一人が、自分の仕事がどのような目的のために行われているのかを理解するための指針となります。

ビジョンとミッションの関係を例えで説明すると、ビジョンは「目指す山頂」で、ミッションは「その山を登る理由」といえるでしょう。両者が明確であれば、社員たちは目的地(ビジョン)とその目的(ミッション)を理解しながら、日々の業務(山登り)に取り組むことができるのです。

ビジョンとバリューの違いとは

次に、ビジョンとバリューの違いについて見ていきましょう。この2つも混同されやすいですが、実は全く異なる役割を持っています。ビジョンに関しては、前回のパートで説明しておりますので省きます。

バリューは行動や意思決定の基準を示す

一方、バリューは企業の価値観や行動規範を表します。つまり、ビジョンを実現するために、日々の業務でどのような態度や行動を取るべきかを示すのがバリューなのです。

例えば、Netflixのバリューの一つに「誠実さ」があります。これは、ビジョン実現に向けて、社員一人一人が誠実に行動することを求めているのです。

バリューは、企業の「道しるべ」と言えるでしょう。ビジョンという目的地に向かって進む中で、どの道を選ぶべきか、どのように歩むべきかを示してくれるのです。

ビジョンとバリューの関係を例えで説明すると、ビジョンは「目指す山頂」で、バリューは「山に登るための手段や道」といえるでしょう。ビジョンが明確で、それを実現するためのバリューも明確であれば、社員たちは目的地(ビジョン)を見据えながら、正しい方法(バリュー)で山登り(日々の業務)に取り組むことができるのです。

ビジョンが重要な理由

ここまでビジョンの定義や他の概念との違いを見てきましたが、なぜビジョンがそれほど重要なのでしょうか?ビジョンの重要性について、詳しく見ていきましょう。

ビジョンを浸透させる施策としては、社内研修や社内報、社内グループウェアの活用も考えられます。

企業の方向性を明確にする

ビジョンは、企業が進むべき方向を明確に示します。これは、経営陣から一般社員まで、全ての人が同じ方向を向いて進むために不可欠です。

例えば、ある食品メーカーのビジョンが「健康的で美味しい食品を通じて、人々の豊かな食生活に貢献する」だとしましょう。このビジョンがあれば、新製品開発の方向性や、マーケティング戦略の立て方まで、全てのビジネス判断の基準になります。

ビジョンは、企業の「コンパス」のようなものです。どんなに荒れた海を航海していても、このコンパスさえあれば、正しい方向に進むことができるのです。

社員のモチベーションを高める

明確で魅力的なビジョンは、社員のモチベーションを大きく高めます。自分の仕事が単なる日々のルーティンではなく、大きな目標達成の一部だと感じることができるからです。

例えば、先ほどの食品メーカーで働く社員が、「自分が開発した商品が、誰かの健康的な食生活に貢献している」と実感できれば、仕事へのモチベーションは大きく向上するでしょう。

ビジョンは、社員にとって「仕事の意味」を与えるものです。単なる給料のための仕事ではなく、社会に貢献する意義ある仕事だと感じられれば、社員の満足度と生産性は大きく向上します。

ステークホルダー(利害関係者)の信頼が得られる

明確なビジョンは、顧客、取引先、投資家など、様々なステークホルダーの信頼を獲得するのに役立ちます。企業が何を目指しているのかが明確であれば、ステークホルダーも安心して関係を築くことができるからです。

例えば、環境に配慮した製品づくりをビジョンに掲げる企業であれば、環境意識の高い消費者からの支持を得やすくなります。また、そのような企業と取引することで、取引先も自社の環境への取り組みをアピールできるでしょう。

ビジョンは、企業の「約束」のようなものです。この約束を明確に示し、それに向かって着実に進んでいくことで、ステークホルダーからの信頼を得ることができるのです。

ビジョンと企業成長の関係性

ビジョンは単なる飾り文句ではありません。実は、企業の成長と深い関係があるのです。ビジョンがどのように企業成長に寄与するのか、詳しく見ていきましょう。

長期的な戦略を支える

明確なビジョンは、長期的な戦略立案の基礎となります。ビジョンという大きな目標があるからこそ、それを実現するための段階的な戦略を立てることができるのです。

例えば、「10年後に国内シェアNo.1になる」というビジョンがあれば、それを実現するために必要な市場シェア、売上高、顧客数などの具体的な目標を設定し、それぞれの目標達成のための戦略を立てることができます。

市場での差別化につながる

独自のビジョンは、市場での差別化要因になります。似たような製品やサービスを提供している企業がたくさんある中で、ユニークなビジョンを持つ企業は、顧客の心に強く印象づけられます。

例えば、「すべての人に快適な移動手段を提供する」というビジョンを持つ自動車メーカーと、単に「売上高世界一を目指す」という自動車メーカーでは、顧客に与える印象が大きく異なるでしょう。

持続可能な成長を促進する

長期的なビジョンは、短期的な利益追求に走りがちな企業経営に、バランスをもたらします。ビジョン実現のために必要な投資や、リスクテイクを正当化することができるからです。

例えば、「環境に優しい製品で社会に貢献する」というビジョンを持つ企業であれば、短期的には利益を圧迫するかもしれない環境技術への投資も、長期的な視点から正当化できます。

ビジョンの作り方とポイント

ビジョンの重要性がわかったところで、具体的にどのようにビジョンを作ればいいのでしょうか?ここでは、効果的なビジョンを作るためのポイントを紹介します。

企業の強みや価値観を反映させる

ビジョンは、その企業ならではの強みや価値観を反映したものでなければなりません。単に格好の良い言葉を並べても、実現可能性のないビジョンは意味がありません。

例えば、長年にわたって品質にこだわってきた企業であれば、「最高品質の製品で顧客満足を追求する」といったビジョンが適しているでしょう。一方、革新的な技術開発を得意とする企業なら、「技術革新で社会に貢献する」といったビジョンが自然です。

ビジョン作りは、企業の「自己分析」から始まります。自社の強みは何か、どのような価値観を大切にしているのか、しっかりと見つめ直すことが重要です。

シンプルかつ明確にする

ビジョンは、誰もが理解できるようにシンプルかつ明確である必要があります。難しい言葉や専門用語を並べても、社員や顧客に伝わりにくくなってしまいます。

例えば、「革新的な技術と卓越したサービスを融合させ、グローバル市場において持続可能な成長を遂げつつ、社会に貢献する企業となる」というビジョンは、確かに格好良く聞こえますが、長すぎて覚えにくいですよね。

代わりに、「技術とサービスで、世界中の人々の暮らしを豊かにする」というようにシンプルにまとめれば、より印象に残りやすくなります。

ビジョンは、企業の「キャッチフレーズ」のようなものです。短くて覚えやすく、でも中身の濃い表現を目指しましょう。

社員や顧客に共感される内容にする

ビジョンは、社員や顧客に共感されるものでなければなりません。単に企業の利益だけを追求するのではなく、社会にどのような価値を提供するのかを明確に示すことが重要です。

例えば、「売上高1兆円を目指す」というビジョンは、社員にとっては頑張る動機になるかもしれませんが、顧客にとっては魅力的ではありません。一方、「お客様の笑顔のために、最高の製品とサービスを提供し続ける」というビジョンなら、社員も顧客も共感しやすいでしょう。

ビジョンは、企業の「約束」でもあります。この約束に社員も顧客も「そうだね!」と頷けるようなものを目指しましょう。

ビジョン作りのプロセスでは、社員や顧客の声を積極的に取り入れることも効果的です。例えば、「あなたが思う当社の存在意義は?」「当社はどのような企業を目指すべきだと思いますか?」といった質問を投げかけ、そこから得られた意見を参考にしてビジョンを作り上げていくのです。

このように、多くの人の意見を取り入れてビジョンを作ることで、より多くの人に共感されるビジョンが生まれる可能性が高まります。

ワークショップ形式の取り組み

ビジョン策定には、ワークショップ形式の取り組みが効果的です。様々な部署や階層の社員が参加し、多様な視点からビジョンを検討できます。時代の変化と共に自社のビジョンがぶれてきたり、目標が定まりにくい場合は、再構築を検討してみてはいかがでしょうか?

典型的なワークショップの流れは以下が参考になります。

  1. アイスブレイク(ブレーンストーミング)の実施
  2. 現状分析(SWOT分析)
  3. 理想の未来像の検討
  4. キーワード抽出
  5. ビジョン案作成
  6. 案の絞り込み

このプロセスを通じて、社員の意見を反映したビジョンが生まれ、参加者の実現への意欲も高まります。

少人数の企業の場合、比較的用意に協議できますが、大手企業の場合などは経営幹部が代表して協議することでビジョンを策定することができます。

外部の専門家に依頼する

外部の専門家(コンサルタントなど)にビジョン策定を依頼するメリットには以下があります。

  1. 客観的な視点の獲得
  2. 専門知識とノウハウの活用
  3. 中立的な立場でのファシリテーション
  4. 業界全体の動向把握
  5. 時間と労力の節約


例えば、ある中小企業が外部コンサルタントの助言を得て「地域に根ざし、世界に羽ばたく」というビジョンを策定しました。

ただし、外部の専門家に依頼する場合も、自社の特徴や価値観を十分に理解してもらい、最終的な決定は自社で行うことが重要です。この価値観の共有に時間工数も相当かかるので、依頼する際は、ここが注意点です。依頼することが逆にデメリットになる可能性もあるので、この点は社内のリソースと合わせて検討してください。 

客観的な視点が必要な際には、外部の専門家の力を借りることを検討してみてはいかがでしょうか。

ビジョンとは未来を描く指針

ここまで、ビジョンについて様々な角度から見てきました。最後に、ビジョンの本質について考えてみましょう。

目指すべきゴールを提示するから

ビジョンの最も重要な役割は、企業が目指すべきゴールを明確に示すことです。このゴールがあることで、企業全体が一丸となって進むべき方向が定まります。

例えば、「2030年までに、すべての製品を100%リサイクル可能な素材で作る」というビジョンがあれば、そのゴールに向けて、製品開発、調達、製造、販売のすべての部門が協力して取り組むことができます。

全員の行動を統一するから

ビジョンは、社員一人一人の行動指針にもなります。日々の業務の中で判断に迷ったとき、「このビジョンの実現につながるだろうか?」と考えることで、適切な判断を下すことができるのです。

例えば、「顧客満足度No.1を目指す」というビジョンがあれば、営業担当者は「この提案は本当に顧客のためになるだろうか?」と自問自答しながら仕事を進めることができます。

ビジョンは、企業の「DNA」とも言えるでしょう。このDNAが社員一人一人に浸透することで、全員が同じ方向を向いて行動できるようになるのです。

ビジョンを実現するためには、トップダウンだけでなく、ボトムアップの取り組みも重要です。例えば、定期的に「ビジョン実現のためのアイデアコンテスト」を開催したり、日々の業務の中でビジョンに沿った行動をした社員を表彰したりするのも良いでしょう。

このように、ビジョンを単なる飾り物ではなく、企業の文化として根付かせることで、より強い組織を作ることができるのです。

まとめ:ビジョンとは?ミッションとバリューの違いを理解しよう

ここまでビジョン、ミッション、バリューについて詳しく解説してきました。これら3つは企業経営に欠かせない要素です。

ビジョンは一度作ったら終わりではなく、時代に合わせて変化していくものです。

あなたの会社では、ビジョンをどのように活かしていますか?

今すぐ自社のビジョンを見直し、経営にどう活かしていけるかを検討してみましょう。会社の方向性を明確にし、社員や顧客の共感を得るために、ビジョンを中心に据えた経営を目指しましょう。

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